車上荒らし犯の逃走を阻止しようとした男性が、一味の乗ったクルマにひき逃げされて死亡したという事件で、この男性を故意にひき殺したとして強盗殺人の罪に問われた32歳の男に対する初公判が3日、神戸地裁姫路支部で開かれた。
男は車上荒らしとひき逃げについては認めたものの、殺意を否認すなど起訴事実の一部を争う姿勢を見せている。前日には事故を起こしたクルマを処分したこの男の親族に対する公判も開かれており、この事件としては2件目の裁判となる。
問題の事件は2001年12月14日に発生した。兵庫県姫路市内のファミリーレストラン駐車場で、交際中の女性のクルマを物色している男を当時26歳の男性が発見した。
男性は男を追いかけたが、男は仲間の乗るワゴン車に乗り込んで走り去ろうとしたため、男性は駐車場の出口に立ちはだかるなどして一味の逃走を阻止しようとした。
ところがクルマは止まらず、男性をひいたまま現場から走り去った。男性は収容先の病院で死亡が確認されている。
検察側は冒頭陳述で「被告はそのまま進行すれば男性にぶつかることを認識しながらクルマを進行させ、男性を避けようとしなかった」と主張。直進を続けたことに未必の殺意が成立するとした。
これに対して被告の男は車上荒らしとひき逃げなど起訴事実の大半を認めたが、未必の殺意については「クルマを進めれば男性の方が避けると思った。避けないという事態は考えもしなかった。故意にやったわけではない」と反論。この部分については争う姿勢を見せた。
公判は今後も続けられる予定で、次回期日は10月8日となる。