新型『プリウス』はアルミ材や高張力鋼板(ハイテン鋼)を用いて、車格を一回り大きくしたにも関わらず、先代モデルと比べた場合には30kgの増加に留めている。
「実際には140kgの軽量化要素があった」と説明するのは、新型プリウスのボディ設計などを担当した第2トヨタセンター・第2ボデー設計部の福島啓市・第23ボデー設計室長。先代比で30kg増えているが、これには裏がある。
「実は先代モデルと同様の材料を使い、同様の工法で新型を製造した場合には、先代比で170kgの増加となってしまうのです。これをアルミ材の多用、樹脂製の燃料タンク採用、工法の見直しなどにより、かなりの重量を削りました」
「実際には30kg増えているわけですが、140kgの軽量化要素があることは間違いありません。さらにはBピラー部にハイテン鋼を用いており、RVに側面衝突された場合にも一定の強度を保つようになっています」と福島設計室長。
ひとつずつの部品から削った重量はわずかだが、それを積み重ねて大幅な軽量化を行うという手法は珍しくなくなった。アルミ材の多用は軽量化への近道と言われているが、コストに厳しいプリウスで鋼材よりは高価なそれを多用したことにトヨタの本気を感じさせる。
中には「こんな部品まで重量を減らしたのか」というものもあり、その品目の多さにも驚かされる。