支払い拒否の難しい後遺障害……保険金を騙し取る

自動車 社会 社会

大阪府警は24日、交通事故によって負ったとされる傷を偽装し、多額の後遺障害保険金を騙し取っていたとして、すでに別件の保険金詐欺容疑で逮捕・起訴されている76歳と61歳の男を詐欺容疑で再逮捕するとともに、犯行に関わった別の男女5人も新たに詐欺容疑で逮捕したことを明らかにした。

大阪府警・交通捜査課の調べによると、このグループは昨年5月15日、堺市山本町1丁目付近の市道交差点でクルマが出会い頭に衝突、後続車がさらに追突するという事故を偽装。被害者側のクルマに乗っていた中年女性3人の顔に8〜10cmの切り傷が生じ、それが事故後にも残ったとして後遺障害(醜状障害)を申請。結果として第7級の後遺障害と認定され、傷害慰謝料を含めて損保5社から約8300万円を受け取ったとされる。

だが、後の調べで女性3人の顔に残った傷は事故を起こす前にあらかじめ、カッターやナイフなどを使って作られたものと発覚。事故とは無関係であることが警察の調べによって発覚した。主犯格の男は後遺障害に関する賠償金のうち、女子の容貌に関するものが非常に重いことに着目し、今回の犯罪を思いついたらしい。

例えば男性が事故によって顔に傷を生じさせた場合、慣例として5cm未満の傷であれば後遺障害14級として自賠責基準で75万円、6cm以上は12級として同225万円が支払われる。しかし、これが女性の場合には前者が12級となり、後者は7級障害となって1051万円が支払われるのだ。

7級障害とは1眼失明や、両耳の難聴、手指の欠損など、非常に重い後遺障害と肩を並べるものだ。これらは非常に深刻な障害であるが、逆に言うと女性の場合は顔に切り傷を作れば同等の障害を負ったとみなされることになる。そしてその年齢に制限も無く、事務的に判断される。

醜状障害については男女の区別を付けずに判断すべきだという流れもあるが、後遺障害の中では見た目としてわかりやすいために、支払いを拒否されるケースが非常に少ない。このあたりに着目するということは主犯格の男たちが交通事故の保険金支払い事情に通じているということでもあり、警察では7人を追及してカネの流れなどを解明していく方針。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース