取り締まり強化……チャイルドシート着用率向上のために

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日本外来小児科学会は23日、今月上旬に警察庁とJAFが共同で行ったチャイルドシートの着用率調査で法規制の対象となる6歳未満の着用率が低下したという現状を受け、警察庁に対して取り締まりの強化を求める要望書を提出したことを明らかにした。

同学会は病院や診療所に勤務するの小児科医で構成されており、「子供の命を守るためにはクルマを運転する大人への取り締まりを強化してでも、チャイルトシートの必要性を訴えていくしかない」としている。

同学会によると、6歳未満の幼児がクルマに乗る際に義務付けられたチャイルドシートの設置・着用率は年々低下の一途をたどっており、2000年4月に道路交通法で定められた直後の警察庁調査では65%だった着用率は、今年5〜6月に行われた調査では51.7%となった。

チャイルドシートは購入したものの装着が面倒だったり、あるいは子供が嫌がったりして使わなくなるケースや、祖父母が同乗した際には孫を自分のひざの上に乗せたがる傾向が相変わらず強いなど、着用率が低下した背景には様々な理由がある。

しかし、チャイルドシートを非装着の状態で幼児が事故に巻き込まれたときの結果は言うまでも無く悲惨そのもの。衝突時に車外放出されるケースは後を絶たず、死亡率も未装着と装着では前者の方が4倍以上高い。同学会に参加する医師はこうした被害者(9幼児)の治療に当たる際、その悲惨さを目の当たりにすることが多い。それだけに装着率が年々低下しているというのをかなり正確に実感しているようだ。

「道交法による罰則導入時は、警察もチャイルドシート検問などを積極的に実施しており、これが装着率を上げるのに効果を発していたことは間違いない」と同学会は分析する。昨年1年間にチャイルドシート未着用で摘発された件数は全国で8885件に留まり、シートベルト装着違反の約320万件と比べた場合、極端に少ない。

導入当時に比べてチャイルドシートの着用率が低下したのは、警察が違反取り締まりを積極的に行わなくなったことに一因があるとも考えられ、それが今回警察庁に提出した取り締まり強化の要望書につながっている。

同学会では「親側の意識改革が必要なのは間違いない。子供は自分でチャイルドシートを装着できないのだから、これは親が気を配らなくてはならない。警察の取り締まりも無いし、面倒だからチャイルドシートを着用しないと言っているかぎり、幼児の事故死亡率はいつまで経っても減少しない。取り締まり強化に訴えるのは消極的なプランだが、親の意識を変えていくためにはこうした荒療治も止むを得ない」としている。

《石田真一》

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