9カ月間の沈黙を破り、ついに目覚めたモバイルキャストのテレマティクスサービス。沈黙を守り続けていた期間も開発は続けられており、『ワイヤレスジャパン』の会場には新しいタイプの車載サーバーが基板を露出させた状態で持ち込まれている。それが「MAG」(Multimedia Automotive Gateway)という、新機能を盛り込んだサーバー。
これは昨年10月に発表された「TAS」(Telematics Application Server)を進化させたもの。こちらは通信機能を持ったサーバーという位置付けだが、MAGは「テレマティクス・カーPC」を掲げている。カーナビに組み込まれ、通信によるコンテンツ取得
供や課金ゲートウェイ接続を受け持つことになる。
通信の手段もKDDIの「CDMA2000 1X」や無線LAN、ETCなど様々な方式に対応しており、「現在いる場所に最適な通信方式を自動的に選び、切り替えもバックヤードで瞬時に行う」という機能がある。
モバイルキャストが提供するコンテンツサービスを利用する場合には、必ず「MTC」(Mobilecast Telematics Center)と呼ばれる課金ゲートウェイを通過するため、通信手段がバックヤードで変更されていても、ユーザー自身がそれに気づくことはない。どの方式で通信していようと、必ずMTCへの回線に接続される仕様になっているからだ。
開発中の基盤にもCDMA2000 1Xモジュールと無線LANモジュールが同じ基板内に同居する形で搭載されていた。走行中は主にCDMA方式を使い、ホットスポットエリアでは通信速度の速い無線LANに切り替える。前者では単純なデータ通信を、後者では大容量のコンテンツダウンロードにも対応する。
疑問となるのは「クルマで使えるホットスポットが街にあるのか?」ということだが、実はここに9カ月間もモバイルキャストが沈黙した理由だ。