「異常な台数を登録させないで」警視庁が国交省に要請

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自動車の保管場所を規定する法律で「車庫証明の取得が必要ない」とされる茨城県千代川村に住民登録した男たちがクルマの不正登録を続け、1600台を超える台数を12人の名義で登録していた問題で、警視庁は9日、国土交通省に対して自動車登録システムを改良し、同一人名義で常軌を逸した多数の登録申し込みがあった場合にはそれを通知する犯罪防止策を盛り込むように要請したことを明らかにした。

これは今年5月に発生した不正登録事件の発覚が発端となっている。スリランカ国籍の男や、手引き役となった日本人の男ら12人が車庫証明を必要としない茨城県千代川村に住民登録を行い、ここを住所としてクルマを次々に購入。

不法滞在している外国人や暴力団関係者などに対し、新規に取得した土浦ナンバーを付けた状態で、1台あたり数十万円程度の安価で転売していたというもの。その数は1600台を超えており、1人が100台を超えるクルマの名義人となっていた。

不正登録され、その後に転売されたクルマは数々の犯罪行為に利用されたが、摘発されたクルマの全てが同一の名義人となっていることや、犯罪に使うことを前提に転売しているようなところがあり、クルマのみが現場に残されても、それを誰が使ったのかすらわからないという状態が頻発。

最も多い登録者は手引きをしたとみられる日本人男性のもので、登録台数は何と457台分。このうち13件が犯罪行為に使用されたことを確認しているが、こうしたクルマは男の姓名を取って「XX車」と呼ばれており、警察内部でも「XX車が絡んだ事件」となれば、容疑者逮捕が難しくなるということを示していた。

自動車の保管場所を規定する法律(自動車の保管場所の確保等に関する法律)では、「特別区並びに市、町及び指定された村ではクルマの保管場所が必要で車庫証明を取得する必要がある」と規定されているが、茨城県千代川村はこれに該当せず、そこに住民票があれば何台でも登録できる状態だった。

ナンバープレートを交付していたのは国土交通省の検査登録事務所であり、同一名義人がこれまでに何台登録しているのかわかれば、このような異常な交付を防げたのではないかと警視庁は判断。同省に対して「交付を求めた名義人が以前交付を求めたのはいつだったのか」や、「異常な交付枚数が生じていた場合には、端末を操作する職員に対して何らかの注意を喚起する」というシステムの導入を求めた。

現行のシステムでは過去に何台のクルマを登録したのかすらわからず、書類さえ整っていればナンバープレートの交付がスムーズに行われる状態にある。

警察では「登録段階で防げたはずだ」としているが、国交省はシステムの改良に難色を示しているという。

《石田真一》

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