国土交通省・四国運輸局は2日、安全担当の役員が飲酒運転起因の事故を引き起こした運送会社に対し、貨物自動車運送事業法に基づいて同社の3支店が保有する事業用車両各1台を10〜25日間の使用停止にする行政処分を行ったことを明らかにした。
四国運輸局によると、今回の処分は高知市に拠点を持つ運送会社の役員が今年4月7日に高知市内で起こした飲酒原因の衝突事故が発端となっている。
この会社の運転手は1999年11月、東京都内の東名高速道路を泥酔状態のまま走行中、渋滞の最後尾に突っ込むという衝突事故を起こし、後に発生した車両火災で4人を死亡させている。悪質な運転者に対して厳罰を与えるという危険運転罪制定のきっかけともなった事故で、以後同社は「飲酒運転は絶対にさせない」というスタンスを取ってきた。
ところが事故を起こしたのはその旗振り役を務めていた安全担当の役員。四国運輸局は「安全担当の役員が飲酒事故を起こすような組織は他にも様々な問題を内包しているのではないか」として、同社が高知県内に持つ6支店を対象に今年5月下旬の約2週間、自動車運送事業等監査規則に基づく監査を行った。
その結果、監査を行った6支店全てで運転者台帳の記載がなされてなかったり、運行記録計(タコグラフ)がセットされていない、連続4時間超の運転を強いる運行スケジュール、禁止されている日雇い運転手の雇用など数々の問題があったことが発覚した。
このため運輸局では同社の一宮支店が所有する事業用車両1台を10日間の使用停止処分を科したほか、高知新港支店の所有車に15日間、中村支店の所有車にも25日間の同様の処分を言い渡した。
さらに、高知、土佐両支店には文書で改善警告、安芸支店には文書での改善勧告を行い、いずれも8月27日までに改善内容を書面で報告することを求めた。
この会社は「県産品のイメージが悪化する」として、高知県園芸連から輸送契約の解除を受けて80年間にも及ぶ契約と全売上げの30%強を失い、現在は大規模なリストラの真っ最中だが、今回の処分がそれにさらなる追い討ちを掛けることになりそうだ。