重い処分を前提とした監査---中部運輸局が名古屋鉄道本社に

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名古屋鉄道(名鉄)バスの運転手が1年4カ月間も無免許のまま乗務を続け、会社もこれを隠蔽する数々の工作を行っていた問題で国土交通省・中部運輸局は1日、同社への特別監査を実施した。

本来は6月30日に行政処分を科する予定だったが、直前に運転手の無免許状態を会社が知りながら乗務を続けさせていた疑いが強まったためこれを延期。今回の監査実施を決めた。

一連の問題は今年2月19日の夜に発生した物損事故から始まった。愛知県岡崎市内の市道で名鉄バスの運転手が乗務していた路線バスに、後方から走ってきた軽自動車が追突するという事故が起きた。バスは事故に気がつかずそのまま現場から走り去ったが、当事者が警察に届けたことから、岡崎署は「バスの運転手から事情を聞きたい」と営業所に打診した。

この段階で乗務していた運転手が1年4カ月間も無免許運転だったことが発覚。会社側は事態の発覚を恐れ、別の運転手を替え玉にして警察への応対に当たらせていた。営業所は事態を本社に報告したが、担当者は報告書を握りつぶし、上層部への報告を怠ったとされる。

この問題の発覚を受け、中部運輸局では6月末までに何らかの行政処分を行う方向で検討を進めてきたが、6月27日に名鉄側の社内調査で発覚した新事実がこれを覆す結果になった。実は乗務していた運転手は事故の発生に気がついており、営業所に対してどう対処したらいいのかというアドバイスを求め、この段階で無免許の事実が発覚した。

営業所は無免許の事実を把握しながら、この運転手の乗務を中断させず、終点まで走るように命じていたという。「営業所が無免許の運転手に積極的な運転を求めていたということは、単なる過失に留めるわけにはいかない」という判断に達し、処分の実施を見送り、さらに重い処分を前提とした特別監査に踏み切ったということのようだ。

昨年、中部運輸局では飲酒運転を行ったJR東海バスに同様の特別監査を実施し、長期の運行停止を命じているが、今回は無免許運転、その事実を会社が隠蔽しようとしたということもあり、これを超える処分が言い渡されることは必至の情勢とみられる。

《石田真一》

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