タクシー運転手から客待ち場所の縄張り料

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京都府警は16日、JR京都駅周辺で不法な客待ちを行うタクシー運転手を脅し、みかじめ料を脅し取っていたとして56歳の暴力団員と、この暴力団員と結託していたタクシー運転手5人を恐喝容疑で逮捕したことを明らかにした。6人は容疑を全面否認している。

京都府警・捜査四課、同・七条署の調べによると、主犯格の暴力団員は今年1月の下旬、タクシー運転手約30人を下京区内のファミリーレストランに数人ずつ呼び出し、懇親会旅行費という名目で1人あたり7000円のみかじめ料を脅し取っていた疑いが持たれている。

今回、ターゲットとなったタクシー運転手は、いずれも正規のタクシープールには入らず、京都駅前の駐車場などに休憩と称してクルマを置き、観光客に声を掛けて1日チャーターや、長距離乗車の仕事を獲得してきた。タクシープールに入ってしまった場合には必ず観光客に当たるとは限らず、短距離乗車の地元客が当たる場合も多い。

不況の影響で1日の売上げが減少しているため、不正な行為であると知りながら、こうした声かけ営業に励む運転手は後を絶たず、今では50〜80人近くが存在するとみられる。

逮捕された暴力団員は不正行為であること、そして観光客に声を掛け易い場所が存在するということに目をつけ、こうした営業を続ける運転手を呼び出しては「これからはカネを払わんと京都駅前の駐車場には入れさせない」、「観光シーズンにはカネ払ったヤツに駐車場を割り当てる」などと脅していた。

主犯格の暴力団員と同時に逮捕されたタクシー運転手5人は“同業者”として、こうした不正営業を行う運転手の動向を監視していたとみられ、みかじめ料の徴収についても代行していた。

5人は警察の取り調べに対して「みかじめではなく、運転手仲間で行く旅行の積立金だ」と主張し、容疑を全面的に否認しているが、払った側の運転手はみかじめ料と認識していたことから、警察では主犯の男が逮捕されることを見越し、運転手を仲間に引き込んで月額のみかじめ料徴収を正当化しようとしていた可能性が高いとみている。

《石田真一》

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