岩手県警と広島県警は9日、2001年10月に北上市内の東北自動車道で発生し、3人が死亡した交通事故の唯一の生存者で、その後の調べでこの事故を起こした運転者本人だったと判明、指名手配されていた35歳の男を広島市内で逮捕したことを明らかにした。
問題の事故は2001年10月28日の午後10時35分ごろ、北上市鬼柳町の東北自動車道・下り線で発生した。男性4人の乗ったワゴン車が中央分離帯に激突して横転、大破するという事故が起きた。4人のうち3人はクルマが大破した際に車外に放出されて全身打撲や脳挫傷が原因で死亡。当時33歳だった男だけが軽傷を負ったのみで生存した。
警察の調べに対し、男は「事故当時、自分は後部座席に乗っていた」と供述。運転していたのは死亡したうちの1人とした。
男はケガが完治した後は故郷の広島に戻っていたが、後の調べで事故車のエアバッグに付着していた繊維がこの男の服の物であったことが判明。事故を起こした際にクルマを運転していたのは生存した男で、その理由も運転席でシートベルトを着用し、事故の瞬間はエアバッグが動作したためにケガを抑えられたと結論づけた。
警察は今年4月、男を業務上過失致死容疑で指名手配し、広島県警に対しても「郷里に戻っている可能性が高い」として捜査協力を求めていた。
男の行方は手配後も不明のままだったが、9日午前、広島市内で一時停止違反をしたクルマのドライバーに免許の提示を求めたところ、指名手配中の男であることが判明し、逮捕したという。
広島県警が行った聴取では、男は指名手配されている事実を全く知らなかったと供述しているようだ。岩手県警では男の身柄を確保したという連絡を受け、捜査員を広島に派遣。男の身柄を岩手に移して本格的な取り調べを行うとしている。