過労運転はドライバー、会社の双方に責任---7人死傷事故で禁固2年

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今年8月、福島県二本松市舘野の東北自動車道上り線で多重衝突事故を起こし、7人を死傷させて、道路交通法違反(過労運転)や業務上過失致死傷罪に問われている男の判決公判が18日に福島地裁で開かれた。裁判官は「安全運転の義務を怠った罪は重い」として、禁固2年の実刑判決を言い渡している。

この事故は8月29日の午後、福島県二本松市舘野の東北自動車道上り線で発生した。追い越し車線を走っていた大型トラックが前方の乗用車に追突。これを発端として合計8台が巻き込まれ、7人が死傷する多重衝突事故に発展した。

警察の調べでは、事故の発端となった40歳のトラック運転手の拘束時間が1日あたり18時間近いことが判明。本人は借金返済のために止むを得ないとしていたが、勤務する会社もこうした事情を知りながら、埼玉−仙台間の定期運送業務を月曜から土曜まで毎日行うという過密スケジュールを設定。それを容認していた。

18日の判決で福島地裁の原啓裁判官は「職業ドライバーが持つべき安全運転の義務を怠った罪は重い」と認定。その上で「本人がギャンブルで作った借金返済を目的としていたとはいえ、過密なスケジュールの要求には応じないなどすべき方法が勤務する会社にはあった。ところが実際には要求以上に過密なスケジュールを命じており、この部分においては会社の運行管理体制に問題があったと認定せざるを得ない」として、禁固3年の求刑に対し、禁固2年の実刑判決を言い渡した。

《石田真一》

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