時効直前の案件に改正道交法は適用せず……無難な対応か?

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1999年11月、東京都世田谷区内で酒酔い運転の大型トラックが渋滞で停車中の乗用車に衝突し、その後の車両火災で幼児2人が焼死した事故で東京地検は27日、道路交通法違反(酒気帯び運転容認)で書類送検されていた運送会社と当時の車両運行責任者を嫌疑不十分で不起訴処分にしたことを明らかにした。

この事故は1999年11月28日、渋滞中の東名高速道路・上り線で発生した。渋滞で止まっていた乗用車に大型トラックが追突。2台は燃料漏れから車両火災を起こし、乗用車の後部座席にいた幼児2人が焼死したというもの。

事故を起こした運転手は懲役4年の刑が確定しているが、この運転手が恒常的に飲酒運転を行っていることを会社側が容認してきた可能性があるとして、警視庁が今月14日までに運転手が勤務していた運送会社と、当時の運行管理責任者を道路交通法違反(酒気帯び運転容認)で書類送検していた。

事故の当時は会社などに責任追及する術が無かったが、今年6月の改正道交法施行によって、責任追及が可能となったことから、時効直前に送検に踏み切った。

東京地検では捜査書類の分析などを進めてきたが、運送会社が運転手の飲酒を容認していたという具体的な証拠は無く、黙認していたという証拠も提出されていないので容疑の確認ができないとして、嫌疑不十分での不起訴処分を決定した。

今回の件では、法が定められる以前の事件に対し、新しく出来た法を適用することの是非について法曹関係者から様々な意見が出されていたが、結果としては一番無難なところに落ち着いたという感じだ。

《石田真一》

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