過重労働を強制した会社の責任は? --三重のトラック事故で運転手を起訴

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津地検は30日、今月10日に三重県鈴鹿市内の東名阪自動車道下り線で、渋滞の最後尾に100km/hの速度で走ってきた大型トレーラーが突っ込み、帰省客など5人が死亡、6人が重軽傷を負った事故で、このトレーラーの運転手を業務上過失致死傷罪で起訴したことを明らかにした。これまでの調べで、運転手は過労運転で朦朧とし、事故当時の意識が全くなかったことが判明している。

この事故は今月10日、鈴鹿市内の東名阪自動車道下り線・鈴鹿インターチェンジ近くの料金所手前で渋滞していたクルマの列に、後方から走ってきた大型トレーラーが減速をしないまま、100km/hほどのスピードで衝突した。最初に衝突されたクルマが前方の5台を押し出す玉突き状態となり、漏れた燃料に引火する形で直後に出火。逃げ遅れた5人が死亡し、6人が重軽傷を負う惨事となった。

事故を起こした運転手は、事故を起こすまでの3日間に茨城〜大阪間の往復を繰り返しており、事故を起こした日も「午前6時には大阪に着かなくてはならず、休憩なしで走っていた」と供述している。連続の長距離運転で極度の過労状態となり、事故の直前数時間の記憶はほとんどなく、衝突した際にも仮眠状態だったと考えられている。

警察の調べに対し、この運転手が勤務する運送会社の関係者は「午前6時までに大阪へ着けとは命じていない」と供述したが、1995年当時に「社員を長時間拘束し、過酷な勤務を命じている」として、日立労働基準監督署から指導を受けていたこともあるという。また、会社が設定している標準到達時間では、法廷速度の80km/hでは間に合わず、100km/h以上の速度を出すことが前提になっていたという。三重県警がこれまでに押収したタコグラフの記録でも、大半のトラックは100km/h以上の速度で巡航していることが判明しているという。

検察ではこれから始まる裁判で、過重労働の実態についての究明も行っていきたいとしている。

《石田真一》

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