免許を持たない16歳の高校生にクルマを運転させ、事故を起こした際には「自分が運転していた」と身代わりの証言を行っていたとして、業務上過失傷害と犯人隠避などの罪で起訴されていた47歳の主婦に対する判決公判が新潟地裁三条支部で7日に開かれ、裁判官は「常識では考えられない極めて無責任な行為」として懲役2年の実刑判決を言い渡した。
判決によると、この主婦は2001年6月24日、自分の息子とその友人(共に16歳)から「クルマを運転してみたい」と頼まれ、これを了解。自分が助手席に乗って教官役を務める形で2人に交代で運転をさせていた。ところが息子の友人が運転していた際、丁字路交差点で右折しようとした際、直進してきたバイクと出会い頭に衝突するという事故を起こした。
主婦は現場に駆けつけた警察官に「自分が運転していた」と証言したが、事故の加害者が「若い男が運転していたように思える」という証言を行ったことや、供述内容に曖昧な点が多くみられことを不審に思い、さらに追及したところ「当時は息子の友人が運転していた」と自供したため、犯人隠避の疑いで逮捕し、後に業務上過失傷害容疑もプラスすることになった。
7日の判決で新潟地裁三条支部の塩田直也裁判官は、「未成年者に安易に無免許運転させた。常識では考えられない極めて無責任な行為」と述べ、さらに「真相を隠蔽しようとした責任は重い」として、被告の主婦に対して懲役2年の実刑判決を言い渡した。
無資格のものに運転させ、事故を起こしたというケースでは、自動車教習所の教官が「事故を未然に防げなかった」として業務上過失致傷罪が適用されたケースは過去にもある。しかし、一般人を対象とした判決は今回が初めてとされている。背景には、こうした違法行為を容認、または命令する「下命」が罰則対象となったこともあるが、執行猶予を付けないというところに裁判官の判断の厳しさを感じる。