どんなクルマでも車検を通す代行業者のマジック---使った魔法の正体は

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静岡県警は9日、消しゴムで消せるボールペンを悪用し、不正に車検証の交付を受けていたとして、富士市の車検代行ショップの経営者と従業員の2人を有印公文書偽造、同行使の疑いで逮捕したことを明らかにした。

警察の調べによると、この2人は顧客に対して「ウチならどんな改造車でも車検に通す」と宣伝し、違法改造車専門の車検代行業者として知られていたという。手口は非常に単純なもので、車検を通したいクルマと同じ車種のダミーを用意。このダミーの車台番号を消しゴムで消せるポールペンを用いて自動車検査票に記載し、無改造のクルマとして車検に通す。当然ながらクルマは無改造なので、不審な点や修正箇所が見当たらない場合、検査員は即座に「合格」の判断を下す。

ここからがこの犯罪の“キモ”で、合格印を受けた後、車台番号を違法改造したクルマのものに書き換え、車検証の交付を受けていた。記載がボールペンによるものなので、検査員も疑いを持たず、また時間も短時間であることから見破ることはできなかった。

この車検代行業者の評判は地元ではかなりのもので、ドリフト族などの間では御用達として有名だった。こうしたクルマを摘発した際、車検を通っていることに着目した警察がクルマの所有者を追及した結果、この業者の存在が判明した。

1回あたりの費用は20〜25万円と割高だが、かなりの利用者がいたとみられ、警察では2人を厳しく追及し、何件程度の不正を行っていたのかを確定するとしている。なお、消せるボールペンを使った公文書の偽造事件は他にもあるが、車検に絡むものは全国でも初めての摘発とのこと。

《石田真一》

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