韓国滞在中、ついついお世話になってしまうのがタクシーだろう。街のどこを見渡してもハングル文字があふれている街で、自分がどこを歩いているのかわからなくなる。そんな瞬間が一度は訪れるかもしれない。そんなときタクシーを捕まえることができれば、大きな繁華街や泊まっているホテルの前まで確実に連れて行ってくれるはずだ。
韓国のタクシーには「一般タクシー」と「模範タクシー」の2種類がある。読んで字のごとく、前者はいわゆる普通のタクシー。ボディカラーは銀や白に青ラインを配したクルマが多い。料金は2kmまでが1600ウォン、その後は210メートルごとに100ウォンずつ加算される。運転は比較的荒めだが、交通の流れにちゃんと乗っているため、事故を起こすことはほとんどせない。
後者は「デラックスタクシー」とも言われ、外国人観光客の利用を念頭においたものだ。運転手のマナーもよく、日本語が話せる人もいる。クルマは黒塗りの高級車で、金色のラインが目印となっているが、その分だけ料金は高く、3kmまでが4000ウォン、250メートルごとに200ウォンの加算となる。
通常は街を流しているタクシーに手を上げて合図し、止まったものに乗り込む。ドアは日本と違って手動なので自分で開けなくてはならないので注意が必要だ。ソウル市内の一部ではタクシー乗り場が用意され、そこ以外での乗車を禁じている場合もある。ソウル中心部の市庁周辺や、新都心の江南(カンナム)、国会議事堂のあるヨイドなど、クルマの通行量が比較的多いビジネス街がそれに該当する。
タクシーに乗った際、いきなり路肩に停車して運転手が路上で待つ人と窓越しに何かを話し、そのままクルマに乗せてしまうことがある。これが一般タクシー特有の習慣として有名な「相乗り」だ。本当は違反行為なのだが「便利ならそれにこしたことはない」という感じで黙認されている。向かう方向が同じなら、空いている席に乗せてしまいましょうというわけ。その場合は「降りる地点のメータ額−乗った地点のメーター額+初乗り料金」を払うことがルールになっている。
いきなり相乗りを経験した場合、ほとんどの日本人は驚くのだが、これを逆手に取る方法もある。ようするに他人が捕まえたタクシーであっても、座席に余裕がありそうなら強引に乗り込んでしまえばいい。試合終了後はたいていの人が競技場から鉄道の最寄り駅やバスターミナルまで向かうはず。空席のあるタクシーを見つけたら、とりあえず行き先を叫んでみよう。先客の行き先と同じ方向で、運転手が「ヤー、ター(いいよ、乗れ)」と返事をしてくれたならOKだ。ちなみにこうした形で始発点から便乗させてもらった場合、それぞれの客がメーターの額を払う決まりにもなっている。
混雑時のタクシーは気合で捕まえることが必要だが、韓国人にとっては常識中の常識なので、それを超えるアピールをする努力だけは忘れないように。