苦渋の選択だった?……京都市がラッピング広告バスを泣く泣く撲滅

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苦渋の選択だった?……京都市がラッピング広告バスを泣く泣く撲滅
  • 苦渋の選択だった?……京都市がラッピング広告バスを泣く泣く撲滅

京都市議会は27日、慢性的な赤字を解消するために導入した市営バスのラッピング広告を「古都の景観にそぐわない」という理由で禁止する方針を示した。

京都市交通局では、慢性的な赤字を少しでも解消しようと、2001年2月から市バス車両への全面ラッピング広告を認可。現在は15台の広告付き車両が運行されており、年間2200万円近い広告料を得ている。最終的には市交通局が保有している750台の大半を広告付きのものとして、赤字を解消していくという考えを持っていた。

ところがラッピング広告の導入直後から、市民や観光客などから「京都らしくない、イメージを壊す」という猛烈なクレームが殺到したため、議会で今後どのようにしていくかという議論が行われてきた。

現状でラッピング広告付きのバスは、京都市の屋外広告物条例の規制内に留まっている。つまりは合法なのだ。ところが、京都には有名な景観条例(京都市まちづくり条例)もあり、この条例を準拠したとするなら、広告付きバスは違反行為そのものとなってしまうことも指摘されていた。京都では旧跡がある地域では建物のデザインにも厳しくチェックが入るほどで、そういった条件で苦しめられている建築デザイナーなどから「なぜバスは良くて、建物のデザインはダメなんだ?」という疑問も上がり、景観をとるのか、それとも収入をとるのかの狭間で揺れ動いてきた。

結局のところ、京都市としてはこれまでの方針通り、景観を優先することを市議会で確認し、今年の夏ごろまでに屋外広告規制条例を改正し、ラッピンク広告付きバスの運行を規制していくという。市バスの他にラッピング付きバスを運行する民間のバス会社に対しても、この条例の施行を理由に禁止するとしている。

広告の全面禁止を受け、市交通局では「京都の景観を守るという意味では仕方がないが、他の収入源を確保しないと赤字の解消はできない」と、困惑するコメントを出している。

《石田真一》

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