【世界一の燃費男 その4】記録更新なるか?!

エコカー 燃費
2000年6月、熊本の開業医、宮野滋氏が挑んだ燃費世界記録の全行程を、本人自ら執筆する。今日はその第4回【ゴール編】。

最初の611kmの時点で、前回の『シビックEti』での記録、30.4km/リットルを上回る31.33km/リットルが得られた。経験上この区間の燃費がいつも最悪で、この後どんどん燃費も良くなるので、今回の記録更新は間違いないだろう。

それよりも今回は、91年にダイハツ『シャレード・ディーゼルターボ』が出した36.54km/リットル=103.01MPG(マイル・パー・ガロン)という記録を破りたかった(イギリスでは、1ガロンあたり何マイル走るかというMPGが燃費の単位となっており、一方ヨーロッパの大陸側では、100km走るのに何リットル燃料を消費するかで燃費を示す)。100MPG=35.40km/リットルを越えられれば良しとしたいところだが、シャレードの記録を破ることが周りから期待されていたのだ。 

この高い目標を目指して、ドライバーはそれぞれの能力を最大限発揮して燃費を上げていった。そして、イギリス一周の基点となるBPのガソリンスタンドに戻り、最後の給油を行って結果を計算した。6012kmを走って合計165.49リットルのガソリンを消費し、燃費は36.33km/リットル。イギリス式には102.63MPGという結果となった。シャレード・ディーゼルの記録には、給油量で僅か0.96リットルという差で残念ながら届かなかった。

インサイトのボディに、小数点以下を切り上げた「103MPG」というシールを貼って、ブライトンのパレスピア前に私の運転でゴールした。チーム全員にテレビ局のカメラやインタビュアーが群がる賑やかな出迎えであった。

今回も無事にガソリンエンジンクラスの新記録を出す事ができた。ディーゼルの記録を破れなかったとはいえ、単純な数値で比較するのはナンセンスだろう。1リットルの軽油を燃やせば1リットルのガソリンより20%も多い二酸化炭素を排出するし、また排気ガス中の粉塵(PM)や窒素酸化物(NOx)のコントロールも難しいのだ。

結果的には第1日目の時間的ロスが最後まで響いた。数カ月遅らせることができていれば、日本のゼンリンが開発したイギリスのカーナビ用ソフトを使ったカーナビを導入することもできた。しかし、我々は6月3日にスタートしなければならなかったのだ。来年再挑戦すれば、インサイトで37km/リットル台、いや38を超える数字が出せるだろう。

また新たなチームを組織してこのパレスピアの前に戻ってきたい。ひとつ記録を作れば、それは挑戦の対象となるのだ。我々の記録を破るライバルが登場するなら、それをまた破るために挑戦をするだろう。この記録挑戦は、燃費の良い車を開発するベストの指標になると確信する。世界中の自動車メーカーに挑戦して欲しい。読者の皆さんもこの記録に挑戦したければ、ギネスの詳しいレギュレーションも含めた情報を公開している我々のホームページにアクセスして欲しい。

《》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集