先代『インプレッサSTi』はフロントパンパーが大きく口を開けていたが、今回はWRXとほぼ共通になっている。これは、すでにWRXの設計段階でSTiに必要な冷却性能を検討したためと商品企画本部の原田博幸主事。ということは、インプレッサのセダンはSTiありきの開発?
「そういわれちゃうと、WRXがオマケみたいに聞こえますが、開発は同時進行でした。インプレッサ・シリーズとして、それぞれの性格を与えたと理解してください」
では、WRXはヒップポイントや車高を従来モデルから約30mm上げたが、それはSTiではマイナス要因にはならなかったのだろうか。
「それはありません。ヒップポイントは基準で30mm上げていますが、シートリフターで下げることができますし、これはドライバーの好みやスポーツドライビングのポジションに合わせられるということです。競技での視界性を高めるにも有利ですし」
一方、純粋な走りを楽しみたいけれど、ラリーコースからそのまま飛び出してきたようなSTiのスタイリングはなかなか手が出しづらいという声もこれまで多かった。
「確かにそうした潜在ユーザーはいると思います。でも、あえてスタイリングをおとなしくしようという意識はなかったですし、むしろ基本性能を上げていったら、こうなったということにしかすぎません」
リアウイングにしても、これまでのような取ってつけたデザインではなく、違和感なくボディーと馴染んでいる。ヘッドランプからフェンダーを構成するラインをそのままリアまで伸ばした独特のボディーにそったデザインだ。
「形状についても、さまざまなトライをし、従来の門型も試しましたが、あまり空力がよくない。機能と全体のバランスを考えた結果、最終的にこのスタイルに決めました」
あくまでもロードカーとしての節度を持った上での、スポーツセダンなのである。もちろん従来のような過激なスタイルに憧れるなら、STI(スバルテクニカルインターナショナル)のパーツが揃っている。いくらでも武闘派への転向は可能だ。