【モデリスタ『カセルタ』登場 Vol. 4】「この値段では儲かりません。宣伝費だと思っています」

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『カセルタ』の価格は350〜388万円と、ベース車『MR-S』の価格の約2倍もする。たしかに150台という少量の生産数や、「シャシーとボディの必要な一部分だけ組み立てた『MR-S』を生産ラインから引き抜き、それを別の工場に運んで手作りで生産する」という手間を考えれば、決して高いとは言えないかもしれない。けれど、それでも「中身が『MR-S』なのに350万は高い」と思われるひともいるかもしれない。

ところが、関係者によれば「正直言って、このクルマを150台完売しても、ビジネスとしては儲からない。このビジネスは“モデリスタがこういうクルマを作れるんだ”ということを広く皆さんに知っていただくための、いってみれば宣伝費のようなもの」とのことだ。

「東京オートサロンに出品したプロトタイプが好評で、生産が決定したとき、おおまかに言えば、まず最初に市場調査をして販売価格を決めました」とモデリスタの奥村忠夫さんは説明する。どうやら価格は、光岡のクルマや、トミーカイラ『ZZ-1』、ロータス『エリーゼ』など、日本で売られている少量生産車の値段を参考にしたらしい。「その価格内で、ショーカーを実際のトヨタの市販車レベルに仕上げるのには、いろいろと苦労がありました」ともいう。

ただし「カセルタはモデリスタのクルマですから、それゆえのメリットがいろいろあります」と奥村さん。「たとえばカセルタは独自の型式を取得しますが、それが一種の簡易型の型式なので、1台1台陸運局で登録検査を受ける必要があるんです。ですから逆に言えば、お客様の好みに応じて、1台1台カスタマイズすることも可能なんです」。コストの関係で「スーパーレッド」1色しか用意されていないボディカラーも、注文に応じて「塗り替えることもできる」という。

さらに「カセルタのフロントノーズ部分は美しさを強調するために一体形成になっていますが、万一の事故の際でも、モデリスタの技術で完璧に修復が可能です(修理代は安くはないそうだけど)。そういったカスタマイズや修理を通じて、お客様とモデリスタのコミュニケーションがより深まってゆけば嬉しい、と私どもは考えています」と奥村さんはいう。ちなみに衝突安全性については「中身がMR-Sなので、MR-Sと同じレベルを確保している」という。

なお『カセルタ』は岩手県一関市にあるカロッツェリア「MODI」で生産され、手作りゆえにその生産能力は月産10〜15台だという。「ですので、お客様にも私どもとコミュニケーションを深めてもらって、ある意味で"待つ楽しみ"を楽しんでいただければと思います」と奥村さんはいう。なかなか夢のある話である。

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