【IMTS試乗レポート Vol. 2】世界初、カルガモ走行インプレッション

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東富士研究所に建設されたIMTS専用テストコースは全長1544mの周回コース。膝高のコンクリートウォールに挟まれた1車線道路に、1mごとに磁気レーンマーカーが埋められている。磁気レーンマーカーは経路誘導のために利用される。

そして気になるIMTS車両のスペックを紹介すると...、 車々間通信による車両のソフト的連結は最大10両まで可能。最高速度は80〜100km/h(ただしコースの設計速度は直線部で70km/h)。なお今回の実験では最高30km/hとされた。パワー・トレーンは環境志向のCNG(圧縮天然ガス)エンジンを搭載する。


IMTS専用コース中央には1mごとに磁気レーンマーカーが埋設されている

試乗はコースに設置された“駅”から専用車両に乗り込み、コースを2周したのちに再び“駅” に戻るというもの。 筆者は用意された3台隊列のうち3号車(3台目)に乗り込んだ。

報道陣が全員乗り込みドアが閉められると、まもなく先行車に追従して静かにスタートする。 運転席に目をやると運転手がいないのにメーターの針があがりステアリングが左右に回転していている。ちょっと不思議な感覚だ。まるで電車に乗っているような感じなのだが、フロントガラスから見える先行車はやはりバスそのもの。


IMTSのインパネの様子。無人なのにハンドルが器用に切られているのは奇妙

コーナー手前や下り坂では減速し、5〜7mの車間距離を保持しながら先行車のマネをするように動作をこなしてゆく。そして静粛性は高い。 ただしまだ実験中だけあってブレーキがぎこちない印象を受けた。まるで運転初心者が恐る恐るブレーキを使っている感じに似ており、まだまだ改善の余地があるだろう。

たかだか最高30km/hとかなりの安全マージンを残しての運行なので、例えばコース設計上 の限界領域での挙動などはなんともいえないが、おおむね走行は安定しているように感じる。

「無人運転による非連結・隊列走行」していることを無視すれば、ただ単に電車かなにかで周回コースをまわったという、何の違和感のない乗り物である。それだけ完成度が高いということ。 目をつぶっていたら新交通システムの“ゆりかもめ”あたりと比べても乗り心地は遜色ないのではないだろうか。


カルガモ走行はコーナリングもお手のもの

ただし“ゆりかもめ”などと異なり車両間にメカニカルな連結はない。 それゆえ“駅”〜“駅”という点と点を結ぶだけにとどまらず、適宜切り離して有人運転に切り替え単体バスとして一般道を運行するといった、フレキシブルな運行が可能になる。これこそがIMTSの特徴なのだが、残念ながら今回の実験では無人→有人のモー ド切り替えは披露されなかった。

「今回の車両はまだプロトタイプで、2005年まで実験を続けます。今後は天候・耐久性など信頼性を中心に実験・開発していきます」とIMTSの研究・開発を担当するFP部主査・青木啓二氏。繰り返すが現時点での完成度は高く、あとは役所の許認可やインフラ次第ですぐにでも実戦投入できるような印象だ。

《小谷洋之》

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