佐川急便のSGシステム、デジタルツイン技術で物流改善…新サービス開始

作業者とマテハンの動きを再現し、可視化
  • 作業者とマテハンの動きを再現し、可視化

SGシステムは11月18日、デジタルツイン技術でものづくりの現場を革新するソリューションプロバイダーのFAプロダクツとの協業により、シーメンスの3Dシミュレータ「Plant Simulation」を活用した物流コンサルティングサービスの提供を開始した。

SGシステムは、佐川急便を中核とするSGホールディングスグループでIT統括事業を担う。

倉庫内作業をデジタルツインで再現し、定量データに基づく分析と自動化提案を行う本サービスは、国内の物流業界では先進的な取り組みとなる。作業者とマテハンの動きを再現し、可視化する。

EC市場の拡大による物流量の増加や深刻化する労働力不足に加え、「2024年問題」に伴う人件費上昇や運送コスト増大を背景に、倉庫内の省人化・自動化ニーズは一層高まっている。

従来のExcelを用いた分析では、複数のマテリアル・ハンドリング(以下「マテハン」)を含む倉庫内全体を精緻にシミュレーションすることが難しく、費用対効果を裏付けた包括的な改善提案には限界があった。

こうした課題を解決する手段として、倉庫内全体の作業者とマテハンの動きを仮想空間上で再現し、可視化・検証できるデジタルツインの活用に至った。

デジタルツインの導入により、工程全体のリアルな再現が可能に。入荷から出荷までの一連の流れをシミュレーションすることで、倉庫内全体を俯瞰した改善提案を定量データに基づいて提示できるようになる。

複数の運用パターンを短時間で比較・検討でき、より効果的な改善策の提案も可能となる。

作業者やマテハンを含む全てのリソースの稼働率に加え、在庫や出来高の推移、エネルギー消費量、コスト比較などを定量データとしてグラフ化することで、倉庫内全体の生産性や効率性を的確に把握できるようになる。

これらにより、費用対効果や実現性を論理的に提示できるようになり、提案の精度と質が大幅に向上している。

今後はAIや進化的アルゴリズムを活用し、最適解を自動的に導き出す仕組みの検証を進めていく。また、同社が開発中の倉庫運用管理システム(Warehouse Execution System:WES)との連携により、シミュレーション結果を実運用に反映できる仕組みの構築を目指す。

同社は今後も、総合物流企業グループのIT統括会社として培った知見と先端技術を融合し、DXを通じて物流現場の効率化・省人化を支援していく。

《森脇稔》

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