車両開発の現場では今、アップデートやメンテナンスがOTA(Over the Air)によって可能なSDV(Software Defined Vehicle)を前提とする動きが広がっている。そんな環境下で適切に対応できるALM(Application Life cycle Management)ツールを開発する米国のPTCの最新状況を取材した。
「開発期間短縮やプロセスの効率化で人の管理は困難な領域に」ブラウクレ氏
自動車の開発現場では、自動運転や電動化へ向けてそれらを制御するソフトウェア開発に特に力が注がれてる。これらにおいては、OTAによって常に最新の状態にアップデートできるSDVの考え方が常識化しつつあり、しかも、その開発スピードは極めて速い。そのため開発者にとっては、そのスピードに振り回されかねないといった現状がある。
「自動車の開発は製品がどんどん複雑化する中で、開発期間の短縮やプロセスの効率化が求められており、それらを人がマネジメントすることはすでに困難な領域に入っている」 そう話すのは、PTCでシニア バイスプレジデントALM 事業部 ゼネラルマネージャーを務めるクリストフ・ブラウクレ(Christoph Braeuchle)氏だ。

そうした状況下で存在感を高めているのがPTCが開発したALMツール「Codebeamer(コードビーマー)」である。PTCは25年3月、メジャーアップデートとなる“3.0”をリリース。今回はそれを踏まえ、2025年4月の時点での対応状況を取材することとなった。
そもそもコードビーマーとは、柔軟で現代的な使いやすいインターフェイスに特徴があるALMツールだ。開発ライフサイクルにおける要件管理やリスク管理、テスト管理といった機能をユーザーに提供することができるもので、特に自動車業界向けの規格テンプレートを備えたことで、標準プロセスを効率よく開発現場に適用できることを最大の特徴としている。
このツールはPTCが2022年4月に買収したIntland Software(イントランド・ソフトウェア)が開発したものだが、この買収に伴ってPTCは、コードビーマーを単独、あるいは「Windchill(ウィンドチル)」や「Arena PLM(Product Lifecycle Management)」との組み合わせての提供も可能にした。これによって、PTCが持っていた既存のALMソリューションの強化やサポートを、さらに強化することにつながったというわけである。
25年3月、大幅なアップデートを実施した「コードビーマー3.0」を発表
そうした中で、PTCが顧客からの課題を集約すると、「製品の複雑化」「ソフトウェア要求項目の増加」「規制の強化・拡大」「開発後期に不具合発覚」「開発領域間の連携」の5つが挙げられる。その中で特に重要とされているのがグローバルな展開をする中で各国が準拠を求める規格・規制といった要件を満たすこと。そこに効率よく適応できるプラットフォームを備えたALMツールがコードビーマーというわけだ。