日産自動車は、ターンアラウンド、起死回生に向けてさまざまな取り組みを展開している。そのひとつが、3月に行われた、2026年までのグローバルでの新車投入計画のお披露目だ。このメディアラウンドテーブルでは、SDVに関する取り組みも発表された。
とはいえ、撮影、録音いっさい禁止の状態だったので、メモを頼りの記事となる。深堀はできないが、発表された情報をできるだけ正しくお伝えする。
■日産SDVをささえる新E/EプラットフォームCCS2
登壇したのは日産自動車の吉澤隆常務執行役員(役職は3月時点。現在は執行職 R&AE戦略 ソフトウェアデファインドビークル開発本部)。
日産では、SDVに関連するアーキテクチャを、オンボード、オフボードの両面で考えている。オンボードは車両側に実際に搭載されるECUやIVIといった部分。SDVを特徴づける車両側のコアとなる部分だ。オフボードはクラウドエッジのサーバーシステムや各種サービスアプリケーションおよびコンテンツということになる。
サービスアプリやコンテンツはSDVにとって重要だが、クラウドエッジに設置されるサーバーも、自動運転やサービスにAIを活用するようになると重要なコンポーネントとなる。

日産も他社同様に、OTA対応、SDV対応のためE/Eアーキテクチャ、ECUの刷新を進めている。同社ではこのプラットフォームを「CCS」(Connected Car and Service)と呼んでいる。日産『アリア』などには「CCS 1.5」と呼ばれる世代のものが搭載されている。2023年から24年は「CCS2」(充電規格のCCS2ではない)がリリースされている。
CCS2は、新型レクサス『QX80』や日産『ローグ』に採用されているものだと吉澤氏はいう。こちらはビルトインGoogleや14.3インチの大型ディスプレイがデュアル構成になっている。

■FOD対応のCC2 Evo
すでに「CCS2 Evo」という進化バージョンも開発が進んでおり、市場投入は26年というので、2026年以降に市販される新型車はこのSDVプラットフォームになる可能性が高い。つまり、3月に発表された各国の新型車はCCS2 Evo搭載の対象となりうるということだ。
CCS2 Evoでは、AI機能の搭載が予定されている。Feature on Demando(FOD)機能も強化されるという。自動車におけるFODとは、OTAのアプリケーションのひとつと考えることができ、後付けや購入オプションの形で追加できる諸機能のことだ。つまりCCS2 Evoでは、AIによる車両の積極的な制御、機能拡張が可能になることが期待できる。
他にも、高付加価値な熱マネジメント(HVAC)、ヘッドアップディスプレイや自動運転と連動したナビ、ARナビなどへの言及もあった。熱マネジメントのHVACは、いわゆるエアコンシステムだが、EVなど次世代車両にとってはバッテリーの温度管理や冬でも効率がよいキャビン温度管理に重要な技術だ。航続距離や電費をも左右する重要技術といえる。
高性能ナビは、カメラ画像にナビゲーション表示を合成するAR表示(BMWグループMINIなどが採用)の他、大規模言語モデル(LLM)を利用した、高度かつパーソナライズされたルート設定(スマートプランナーと呼んでいた)を目指している。