マツダは11月7日、2025年3月期第2四半期決算を発表した。売上高は2兆3939億円と過去最高になったものの、収益は想定以下となり、通期利益見通しは下方修正した。実績も見通しも、北米市場の貢献が大きい。
◆2025年3月期第2四半期累計実績
2025年3月期第2四半期累計(4~9月)の実績は、グローバル販売台数は63万台(前年実績比微増)、売上高は2兆3939億円(3%増)と過去最高の売上高となった。しかし営業利益は1030億円(20%減)、当期純利益は353億円(67%減)の実績となった。
北米販売が過去最高を達成したいっぽう、販売奨励金の上昇により、台数増と為替による増益をオフセットし、収益は想定以下となった。
市場別に見ると、北米は最も収益性の高い市場であり、シェア拡大およびトップラインの成長を実現した。車種別ではラージ商品が引き続き販売を伸ばしている。『CX-50』や『CX-90』の貢献により対前年で21%の販売増となり、日本、中国、その他市場の販売減を相殺した。米国とメキシコでは過去最高の販売とマーケットシェアを達成した。

日本市場での販売減は『CX-8』の生産終了や、初期に生産した『CX-60』の品質問題などによるもの。中国はNEV車の攻勢や値引き競争の激化により販売が苦戦したが、下期からは新型NEV車の『EZ-6』を投入して巻き返しを期待する。
◆米国市場で販売奨励金が増加
販売奨励金は約840億円の減益要因となった。当期純利益が前年実績比で728億円減だから、かなり大きな数字だ。その中でマツダは、市場全体で供給・在庫が増加する中、競合力を維持するための施策を実施した、とする。
マツダによると、米国での日系自動車メーカー平均の販売奨励金は年初より約4割増加しており、各社厳しい状況だ。マツダでは販売奨励金の削減に取り組んでいるが、短期的には厳しい環境が続くと予想。しかしながらマツダは販売金融商品を通した顧客への購入支援策に販売奨励金を使っているという。具体的には、ローンの金利引き下げやリースでの月々の支払い額の低減などだ。この結果、米国市場における再購入率は改善し、2019年以降、50%以上を継続している。

◆通期見通しは下方修正
2025年3月期の通期見通しは、グローバル販売台数は135万台、売上高は5兆円。営業利益は2000億円、当期純利益は1400億円の見通しとする。
グローバル販売は対前年9%増の135万台となる見通しだ。日本の販売減および中東を含むその他市場での成長減速を反映し、8月公表の見通しから下方修正する。
北米での販売台数は過去最高を計画しており、前年実績比9万台増の約60万台で、前年からの販売増を牽引する。北米販売で日本とその他市場の販売減を一部オフセットすることが期待される。ただし競争環境の厳しさは継続するとの見込みだ。ほとんどの市場で前年を上回る販売をめざすが、北米市場が最も貢献する見通しになっている。
新型車はこの秋に、日本・欧州には『CX-80』、中国にはセダンモデルのEZ-6、北米には「CX-50ハイブリッド」を導入する予定。

連結出荷台数は125万台に見直した。これは前年通期実績比で4%増だが、8月公表からは5万台の下方修正となる。売上高は5兆円で、こちらも前年実績比4%増だが、8月公表からは3500億円の下方修正となる。
通期利益見通しは下方修正。営業利益は2000億円に修正した。8月公表比で700億円の減少、前年実績との比較では505億円の減少となる。当期純利益は、過去最高レベルだった前年実績比で677億円減少し1400億円の見通しだ。8月公表比では100億円の減少となる。
◆株主還元
株主還元についは中間配当は25円とし、年間配当は55円の見通しだ。配当方針に則って安定的な配当を実施する。