車載用ミラーなどを手掛けるGentex(ジェンテックス)はCES 2024に出展し、赤外線イメージング技術を取り入れたセンシングや自動防眩機構を採用した電子サンバイザーなど、数々の最新技術を披露した。
ジェンテックスは今から50年前に業務用防火業界向けに製品を提供する会社として創業し、今では世界の自動車、航空宇宙、防火産業向けに電気光学製品を長年供給する会社として成長してきた。特に自動車業界では、ほぼすべての主要自動車メーカーに、ドライバーの視界を最適化し、運転の安全性を高めるコネクテッドカー技術や高度な電子機能を供給している。
◆アダスカイのサーマルイメージング技術を活用し、悪条件下での検知能力を向上
そのジェンテックスが2023年5月、新たにアダスカイ(ADASKY)との戦略的パートナーシップを締結。その成果としてCES 2024では、アダスカイのサーマルイメージング技術を自動車産業向けに適応させる新しい取り組みを披露した。

この技術はアダスカイが独自開発した遠赤外線(LWR)センサーを使うもので、対サイズ性能、ソリッドステート技術、高い信頼性が特徴で、その上で「シャッターレス」の24時間にわたって常時作動設計とすることでADAS用として最適化を図ったものだ。
遠赤外線センサーというと、ヘッドライトの光が届かない夜間ドライブでの効果を謳うことが多いが、実は明るい昼間でも役立つことは多い。たとえば太陽が正面に来て完全な逆光状態となった時もその一例で、こうした時はサンバイザーさえ役立たず、歩行者などを見落とす要因ともなる。この時はADAS用カメラでさえ検知は難しい。

遠赤外線センサーは昼夜を問わず、周囲の温度差から対象を検知できるため、逆光などの条件下であっても不都合はない。気温が人間の体温レベルになった時でこそ、検知が曖昧になることもあるようだが、実際の運用でその状況に陥ることは極めて稀だという。その意味では100%確実とは言い切れないが、少なくとも見落とす確率を大幅に下げられるだろう。
ジェンテックスはこの技術を前方だけでなく、デジタルリヤビューミラーにFDM(フル・ディスプレイ・ミラー)ミラーとして拡大させていた。つまり、FDMに後方用サーマルカメラを搭載することで、夜間走行中のドライバーの後方監視能力を劇的に向上させているのだ。これはドライブレコーダーに活用することで、そのメリットがより活かせるようになるのではないかと感じた。
◆自動防眩機構+バニティミラー機構を組み込んだ電子サンバイザー
電子サンバイザーは、ジェンテックスは自動防眩デバイス技術の世界的リーダーであり、これまでに年間4500万個以上を出荷している実績を持つ。その経験豊富な技術力をベースに開発されたのが、自動防眩機構を採用した電子サンバイザーだ。これを実現することで、視界を確保しながら太陽光の眩しさを防ぐことが可能になる。
