インバータ・アクスルケース、マウントブロック設計の新機軸「メタマテリアル」とは?…人とくるまのテクノロジー展2023名古屋

NVHに最適なマウントブロックを設計した例
  • NVHに最適なマウントブロックを設計した例
  • 汎用プラスチックで構成されたバンパー用衝撃吸収素材
  • 流体シミュレーションと熱力学シミュレーションによるヒートシンクの設計例
  • Nature Archtecuts(ネイチャーアーキテクツ)のメタマテリアル
  • メタマテリアルによる設計支援およびエンジニアリング提供がビジネスモデル
  • バンパー部品やマウントブロックにメタマテリアル設計を適用した例
  • ヒートシンクや筐体の熱管理、ウォータージャケットの計算にも
  • 構造形状で発泡プラスティック素材の特性を再現する

メタマテリアルとは、光や電磁波の領域で自然界に存在する物質とは違う機能や特性を持つ物質のことを指す科学用語だが、エンジニアリング(工学)の分野では、新しい機能や構造を持つ人工素材について指すことが多い。

「人とくるまのテクノロジー展2023名古屋」に出展していたNature Architects(ネイチャーアーキテクツ)は、メタマテリアルを扱うベンチャー企業だ。スタートアップエリアにブースを構えた。

同社が提案する素材は、たとえば強度、剛性、重量、塑性の組み合わせで最適な構造はどうなるか? というアプローチで部材の形状や構造として設計される。部品の要件から理想的な形状や構造をシミュレーションや計算によって求める方法と言ってもいいだろう。

Nature Archtecuts(ネイチャーアーキテクツ)のメタマテリアル

NVH対策で有効なマウントブロック

展示されていたマウントブロックは、支点となるブラケットとそれらをつなぐ最小限の構造で構成されている。このブロックは、固定箇所の複雑な荷重に対して最適な静的強度を持ち、固有振動数および重量が最適になるように設計されているという。軽量化だけ、強度だけ、と部分最適から要件を満たすのではなく、すべての要素の全体最適となる形状を作ることができるというものだ。

バンパー部品やマウントブロックにメタマテリアル設計を適用した例

このアプローチが有効なのは、NVH(Nose、Vibration、Harshness)対策の領域だという。騒音、振動、強度の問題は、バランスさせることが難しい。だが、最適にバランスさせれば、高性能・高付加価値を持ちながら、安全性や堅牢性を製品ライフサイクルの中で高めることができる。

安価な汎用プラスチックをバンパーに


《中尾真二》

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