多くのクルマに搭載されているADAS(先進運転支援システム)を、高度なAI物体認識ソフト「SVNet」を使って展開するのが韓国発のベンチャー、ストラドビジョンだ。そのCEOを務めるキム・ジュナン氏がこのほど来日し、同社の現在地と今後の展望を語った。
2014年、物体認識をAIで行うソフトウェアの開発で創業
2014年に韓国で設立されたストラドビジョンは、物体検知のAIソフトウェアをメインとする会社として5名の社員と共に設立された。それ以降、ティア1の自動車部品メーカーやOEMである自動車メーカーへ同ソフトウェアを提供することで順調に業績を伸ばし、今やグローバルで324名(2022年10月時点)の社員を擁する企業へと成長を果たしている。また、米Aptiveや独ZFなどのティア1の部品メーカーなどを中心に多くの投資を集めたことも大きいだろう。
そのストラドビジョンが創業時より手掛けているのが高度なAI物体認識ソフト「SVNet」だ。特徴は、コンパクトで軽量なディープラーニングのネットワークを構築していることにあり、各社のSoCに向けたコードを簡単に作成できる形でティア1やOEMに提供可能としていることも見逃せない。
ストラドビジョンによれば、同じタイプのSoCに比べ、コンパクトでかつ、低消費電力で実行できるのが強みで、コスト面でも競合ベンダーに比べて15~20%ほどの低コストを実現できているとする。

「SVNet」の中核であるディープラーニングの処理を軽量化
そのSVNetが拡販することになったきっかけは何だったのだろうか。これについてキムCEOは、「2019年、ドイツ車に採用されたことが大きかった。それを契機に量産化が進み、他にも中国や日本の自動車メーカーへの搭載が進み始めた。今年はそこから技術を進化させたナレッジディスティレーション(知識や経験の蒸留)を使った量産体制を敷く」段階にまで来ていると話す。