東京都交通局は10月19日、都営地下鉄大江戸線・都庁前駅(東京都新宿区)で第5世代移動通信システム(5G)を活用するプロジェクトを10月21日から開始すると発表した。
同駅では5月に地下鉄駅としては初めて複数の通信事業者がアンテナを共用する「インフラシェアリング方式」と呼ばれる5G環境が整備されたが、今回のプロジェクトでは通信事業者が整備する通信環境の影響を受けない「ローカル5G」と呼ばれるネットワークを構築し、旅客サービスや保守点検作業へ活用するための検証が行なわれる。
旅客サービスでは、10月21日から2023年1月5日まで、AIカメラで撮影された高精細映像を旅客サービスに活用する検証や、現実の風景をコンピュータで生成した情報を重ね合わせる拡張現実(Augmented Reality=AR)を活用した旅客の移動支援に関する検証を実施。合わせて、AIサイネージによる効果的な情報発信の検証も行なわれる。
地下2階改札外や地下1階で行なわれるARを使った旅客の移動支援へ向けた検証。スマートフォンの専用アプリで目的地を設定すると(左)、映像に青線でルートが表示される(右)。保守点検作業では、11月19・20日、12月3・4日の終電後に、トンネル内施設の点検へ活用することなどを念頭に置いた検証が行なわれる。
保守点検作業への活用に向けた検証。保守用車に設置された高精細カメラで撮影されたトンネル内の線路や天井、壁などを5Gで駅構内の記録装置へ伝送し、AI解析による異常検知などを行なう。