アウディは10月14日、車両周囲の粒子状物質を除去するEV用微粒子フィルター、「アウディ・アーバン・ピュリファイアー」を開発するパイロットプロジェクトを立ち上げた、と発表した。初期の試験段階では、走行と充電時の両方で、都市の空気の質の改善に貢献したという。
◆車両が発生した粒子状物質だけではなく周囲の車両が発生した物質も吸収
車両の駆動システムに関係なく、車両が走行することによって、細かい粉塵が発生する。それらの85%は、ブレーキ、タイヤ、道路の摩耗などに起因するものだ。肉眼ではほとんど見ることができないこれらの微小な粉塵粒子は、サイズが数マイクロメートル、直径10マイクロメートルのため、呼吸とともに体内へと吸い込まれる。
世界保健機関(WHO)は2021年、粒子状物質の上限を、以前よりも大幅に引き下げるべきとの勧告を発令した。しかし専門家は、ドイツの多くの都市で、これらの新しい数値を遵守することは不可能と指摘している。
アウディは、サプライヤーの「MANN+HUMMEL」と協力して、車両の周囲から粒子状物質を集めるフィルターを開発した。車両のフロントに装着されるこのフィルターは、一部の都市ですでに使用されている固定式のフィルターシステムと同様に機能する。このモバイルフィルターは、車両自らが発生した粒子状物質だけではなく、周囲の車両が発生した物質も、その場で吸収する。パイロットプロジェクトは、2020年から開始されており、4年間にわたって実施される予定だ。

◆走行中は受動的フィルター 充電中は能動的フィルターとして機能
フィルターは、既存のラジエーターの前方に設置するため、車両にわずかな変更を加えるだけで装着することが可能で、コストを抑えることができる。フィルターエレメントは、開閉式の冷却用エアインレットを介して制御され、機械的には掃除機と同様の機能を備えている。この原理により、微粒子はフィルターに捕捉され、空気はフィルターを通過して流れることができるという。
アウディはこれまでの試験段階で、このフィルターをEVの『e-tron』のテスト車両に装着した。走行中は、車両の動きにより、受動的なフィルターとして機能する。空気はフィルターシステムを通過して流れ、微小な粒子であっても捕捉することができる。