物流施設のデベロッパーは、その成り立ちからして、物流の世界に新たなビジネスを創造したと言える。「所有と利用の分離」という今までにはなかった概念を持ち込んだからである。
◆デベロッパーの登場で物流全体の効率化が加速
かつて、倉庫や配送センターなどの物流施設は「所有者による運用」が一般的だった。所有と利用は一体化していたのである。ゆえに、在庫の置き場を増やそうとするなら、自社で物流施設を建設するか、物流施設の所有者兼運用者である物流会社(倉庫事業者)に在庫の管理を委託する必要があった。
時を経て、自社の物流施設の管理を物流会社に委託する荷主が増えてきた。つまり、オペレーションの分離が進んだというわけだ。しかしながら、荷主でも物流会社でもない第三者が物流施設を建設することはなかった。それゆえ、複数の荷主、物流会社が入居することを想定したマルチテナント型の大型物流施設はほとんど存在しなかったのである。
物流施設のデベロッパーは、この状況に風穴を開けた。日本では2000年以降、プロロジスやGLPといった外資系デベロッパーの参入を契機に、マルチテナント型の大型物流施設が急速に増加し、現在では新設される物流施設の過半を占めるに至っている。大和ハウス、三井不動産、オリックス、住友商事などの様々なバックグランドを有する日本企業も事業参入を果たした。物流施設の床面積の広さは入出荷作業の生産性にある程度まで比例すること、トラックが2階以上に直接乗り入れることを可能とする傾斜路「ランプウェイ」の設置は積卸作業のリードタイム短縮に資することなどを考えると、デベロッパーによる大型物流施設の開発は物流全体の効率化に寄与したといっても過言ではない。