本格を手軽に…パワーアンプ内蔵DSP[システム・メイク術]

「パワーアンプ内蔵DSP」を核としたシステムが構築されたオーディオカーの一例(製作ショップ:オートステーションK2<大阪府>)。
  • 「パワーアンプ内蔵DSP」を核としたシステムが構築されたオーディオカーの一例(製作ショップ:オートステーションK2<大阪府>)。
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  • 「パワーアンプ内蔵DSP」を核としたシステムが構築されたオーディオカーの一例(製作ショップ:AVカンサイ<大阪府>)。
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  • 「パワーアンプ内蔵DSP」を核としたシステムが構築されたオーディオカーの一例(製作ショップ:AVカンサイ<大阪府>)。
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カーオーディオシステムの構築法はさまざまある。当特集ではその1つ1つについて、利点や楽しみ方のポイントを解説している。今回は、「パワーアンプ内蔵DSP」にて組み上げるシステムにスポットを当てる。さて、この方法を選択することで得られる利点とは…。

カーオーディオでは「DSP」が使われることが多い。その理由とは…。

最初に、「パワーアンプ内蔵DSP」とは何なのかを説明しておこう。これはその名のとおり、「DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)」と「パワーアンプ」とが一体化しているユニットだ。

ところで、カーオーディオでは「DSP」が使われることが多い。その理由は以下のとおりだ。クルマは、好きな音楽を大音量で聴けるという点ではリスニングルームとしての適性が高いが、音響的なコンディションは実はあまり良くない。

良くないポイントは主には2点ある。1つは「車内が狭いがゆえに音が反射して周波数特性が乱れがちとなること」だ。そしてもう1点は「視聴位置が左右のどちらかに片寄ること」だ。結果、左右のスピーカーから放たれる音をバランス良く聴けず、ステレオイメージの再現性が落ちがちとなる。

しかし「DSP」を用いれば、これら不利的要因への対処が可能となる。なぜなら、「DSP」にはサウンド制御を行うための機能が搭載されているからだ。それらを駆使することで、周波数特性の乱れや視聴位置が片寄っていることに対する補正をかけられる。

ただし…。「DSP」を用いて詳細なサウンド制御を行う場合、「システムが大型化する」というデメリットも発生する。というのも、詳細なサウンド制御を行うためにはまず「DSP」の内部であらかじめ信号の帯域分割を行う必要がある。例えば使用するスピーカーがセパレート2ウェイの場合には、ツイーター用の音楽信号とミッドウーファー用の音楽信号とを先に分割しないと、それぞれに対してチューニング機能を効かせられない。

各chの信号に個別にチューニング機能を効かせた場合、アンプのch数も多く必要になる…。

そして各スピーカー用の信号に個別にサウンドチューニング機能を効かせたら、それぞれの信号はスピーカーまで別回線にて伝送しなくてはならなくなる。信号を混ぜるわけにはいかないからだ。

なので、信号を増幅する工程においても各信号を別々に扱わなければならず、パワーアンプのch数もスピーカーユニットと同数が必要となり、システムが巨大化してしまうのだ(このように、スピーカーユニットの1つ1つにパワーアンプの1chずつをあてがうシステムのことは「マルチアンプシステム」と呼ばれている)。

しかしながら「パワーアンプ内蔵DSP」はその筐体の中にパワーアンプを内蔵しているので、システムのコンパクト化を果たせる。「外部パワーアンプ」を用意する必要がなく、それを設置するためのスペースも不要だ。なのでユニット代も取付費用も節約でき、クルマとしての実用性(積載性)も削られない。このように「パワーアンプ内蔵DSP」なら、本格システムを比較的に手軽に構築できる。この点が、「パワーアンプ内蔵DSP」を選択して得られる最大の利点だ。

ちなみに高度な「DSP」を内蔵している「メインユニット」を使う場合にも、内蔵されている「パワーアンプ」にて「マルチアンプシステム」を構築できる。しかし、「ハイエンドナビ」に内蔵されているパワーアンプのch数は「4ch」と限られている。なのでサブウーファーを用いる場合には「外部パワーアンプ」が必要となり、フロント3ウェイスピーカーを駆動したいときにもそれを「マルチアンプシステム」にて鳴らすことは不可能だ。

対して「パワーアンプ内蔵DSP」は、機種バリエーションがさまざまある。組みたいシステムに応じて使いやすいモデルを選べる。この点も利点だ。

「パワーアンプ内蔵DSP」の導入が向いているクルマがある!?

ところで実を言うと、これの導入が特に向いているケースがある。それは、サウンド制御機能が組み込まれた純正オーディオシステムが搭載されたクルマだ。

ちなみに通常であれば、クルマの中でより良い音を聴きたいと思ったときにはスピーカー交換が選択肢の筆頭として浮上する。というのも純正スピーカーは能力の限界値が低いので、それを市販品に換えれば聴こえてくる音質を確実に良化させられるからだ。

しかしサウンドコントロール機能が組み込まれた純正カーオーディオシステムが搭載されたクルマでは、後からその設定値を変更できないので、スピーカーを交換したときにそのスピーカーに適したサウンド制御を行えない。となると交換したスピーカーの性能を引き出すことが難しくなる。さらにいうと純正のサウンド制御の設定値は、Hi-Fiカーオーディオ的ではない場合が多い。なのでこのようなケースでは、スピーカーを交換するよりも別系統のカーオーディオシステムを組み上げた方がより良い結果を得やすくなる。

それを手軽に行おうとするときに、「パワーアンプ内蔵DSP」が頼りになる。これを導入し、かつソースユニットにはスマホを使い、そして「パワーアンプ内蔵DSP」と純正スピーカーとをダイレクトに接続すれば、新たなカーオーディオシステムを完成できる。

さらには純正メインユニットのスピーカー出力を「パワーアンプ内蔵DSP」に入力すれば、純正メインユニットのナビ音声やラジオや地デジの音声も聞ける。つまり、純正オーディオと新規のオーディオシステムとを共存させることも可能となる。

というわけで「パワーアンプ内蔵DSP」は、初めてのカーオーディオアイテムとしても力を発揮する。愛車のサウンドクオリティを上げたいと思ったときには、これを導入するという選択肢があることも覚えておいて損はない。

さて次回は、具体的にどのような「パワーアンプ内蔵DSP」があるのかを紹介していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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