JR西日本は3月29日、京阪神エリアの特定区間運賃を2023年4月1日購入分から一部改定すると発表した。
JR西日本の運賃は、1987年4月の民営化に際して国鉄から引き継がれたもので、以来、消費税の転嫁分を除いて改定されていない。しかし、前時代の遺物とも言える国鉄運賃は1970年代に4回も改定されている。
1976年当時、私鉄との競合が激しい京阪神エリアのうち、大阪~三ノ宮間は国鉄が170円、私鉄(阪急電鉄、阪神電気鉄道)が180円となっており、かろうじて国鉄が割安だった。
しかし、同年11月の改定後は国鉄が一気に100円アップした270円になった反面、私鉄は据置きだったため、国鉄が大幅に割高になってしまった。
国鉄の改定はさらに1978年7月にも行なわれているが、私鉄運賃の据置きが続いたためその差はますます拡大。キロ地帯制に基づく弾力性がない全国一律運賃では私鉄との競争に対応できないため、この時、東海道本線京都・西大路~大阪間、大阪~三ノ宮・元町・神戸間に特定区間運賃が初めて設定され、現在は315区間におよんでいる。
とはいえ、コロナ禍による乗客離れが深刻さを増している昨今は時代が変わり、JR西日本は「市場環境も変化してきています」として、99の特定区間運賃を見直すことになった。

このうち34区間は普通運賃と通勤定期運賃を、65区間は6か月用の通勤定期運賃を見直すとしており、普通運賃は10~40円の値上げとなる。なお、通学定期運賃は据え置かれる。
