自動車関連だけじゃない! センサー+AIで先行くボッシュの技術

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 「ボッシュ」というと電動工具や自動車部品のメーカーというイメージを持っている人が多いかもしれない。確かに自動車部品はボッシュ創業に関わるDNAともいえる事業だが、冷蔵庫や洗濯機をはじめとする白物家電、監視カメラシステム、音響設備、そしてスマートファクトリー技術などボッシュのテクノロジーは様々な領域で提供されている。そして、実は世界中のスマホの3分の2に同社の技術が採用されていることはあまり知られていない。

ボッシュの半導体技術はあらゆる場面で活用される

スマホやドローンに欠かせないボッシュのMEMS

 それら我々に馴染のある製品を支えている技術として注目したいのは同社の半導体事業だ。とくにMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)に代表されるセンサー製品を取り上げたい。2020年グローバルのMEMSメーカーの売上高第1位はボッシュという調査データもある。業界ではクルマ1台あたり平均5個のボッシュ製MEMSが搭載されているといわれているが、クルマを除いたコンシューマー向け用途でもボッシュが第1位となっているという。それだけ、ボッシュのMEMSが一般的に使われているということだ。MEMSとは、日本語では「微小電気機械システム」と訳される。スマホの向きを検知したり、ゲーム機のコントローラーに利用したり、ロボットやドローンの姿勢制御にも使える電子部品だ。

 ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャーの日吉克彦氏によると、ボッシュがMEMSセンサーを開発するようになったのは「エンジン制御のための気圧センサーとエアバッグ制御のための加速度センサーに必要だったから」という。1994年に最初のMEMS製品を完成させている。

ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャー 日吉克彦氏

 その後、MEMS市場の拡大を受け、2005年に半導体事業を独立させボッシュセンサーテック(BST)を設立した。手掛けるセンサーは、加速度センサー、ジャイロセンサー、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測ユニット)と呼ばれる加速度センサーとジャイロセンサーを一体化したセンサー、気圧センサー、磁気センサー、環境センサー、ガスセンサーなど。IMUは車載用、スマホ用にニーズが高い。

ボッシュが目指すAIとIoTの融合

 ボッシュはAIとIoTを駆使したリーディングカンパニーを目指している。その中で、BSTの目下の注力技術は、MEMSという小さいチップの中にAIを組み込むというチャレンジだ。

「BSTのセンサーアプリケーションは、スマホやゲーム機の他、ウェアラブル端末、ヒアラブル端末(イヤフォン型デバイス)、スマートホームやAR/VRにも広がっています。BSTが力を入れているのが、センサーにプロセッサやAIエンジンを搭載することです。そうすることで、Webカメラやリストバンド型デバイスなどIoT機器が、よりインテリジェントな製品にすることができます」(日吉氏)

 たとえば、同社のAIとIoTを活用したデバイスとしてリリースされた「BHI260AP」という製品は、6軸のIMUにAI機能を一体化したデバイスだ。

「このチップを使えば、たとえば歩行者の移動をトラッキングするPDR(Pedestrian Dead Reckoning:歩行者自律航法)システムにおいて、より細かい精度で位置や向きの把握、移動軌跡のトラッキングが可能です。トラッキングの精度は、GPS信号や地図情報と補完することで精度を高めることも可能ですが、BHIの機能を使えば、GPS電波を受信できない場所でも正確な移動軌跡をとることができます。また、BHIの自己学習機能を用いてジェスチャー検知に使用できます。リストバンド型活動量計に応用すれば、プリセットしたエクササイズの動き以外に、新しいエクササイズの動きを学習させることも可能です」(日吉氏)

AI搭載リストバンドが、さまざまな運動を動きだけで識別して活動量や回数を管理


世界初のAIセンサー「BHI260AP」はウェアラブルデバイスへの搭載が期待される

AI搭載のセンサー群が可能性を広げる

 「BME688」というガスセンサーは、ひとつのチップで複数の気体を識別したり、においの違いを検知したりすることができる。これもAI機能を搭載しており、AI-Studioという機械学習ツールを利用して、気体の違いやにおいの微妙な違いを学習させることができる。

 一般的なガスセンサーは、検出したい気体ごとにセンサーの種類や方式が決まっている。見た目は1台の装置で複数の気体を検出できるものは存在するが、多くは内部に検出対象ごとのセンサーを搭載する必要がある。しかし、BME688を使った製品は、開発時にAI-Studioによって異なるにおいや気体を学習させることができる。ワンチップのセンサーでさまざまな気体やにおいを識別できるようになる。このようなチップは他に類がない。

ボッシュのガスセンサー(BME688)


 「BME688は、周辺に他のにおいや気体があっても検知精度は下がりません。計測室や検査室のようなところでない一般の生活シーンで利用できるので、応用範囲は多岐にわたります。たとえば病院や介護施設で排泄物のにおいセンサーとしての応用が考えられます。身近な例では、自分では気付きにくい口臭や体臭のチェック、健康管理にも利用できます。においの微妙な違いを学習させれば、たとえばコーヒー豆の焙煎、ワインの品質チェック、発酵食品の管理といった用途にも使えるでしょう」(日吉氏)

火星探査プロジェクトでも活躍するボッシュのセンサー

 BSTのMEMSセンサーは、最先端の宇宙開発プロジェクトの現場にも採用されている。NASAが行っている火星探査ミッションでは、小型ロボットヘリ インジェニュイティの飛行実験に成功している。このインジェニュイティの姿勢制御装置に、ボッシュのIMUが搭載されているのをご存じだろうか。もちろん地球以外の惑星でヘリが飛ぶのは初めてだ。この歴史的快挙はボッシュの技術によって支えられていたのだ。

火星探査ヘリIngenuityの姿勢制御はボッシュのIMU(慣性計測ユニット)が行っている(写真:NASA)

QoL(Quality of Life)向上・社会生活に欠かせないボッシュの技術

 北米ではE911という、スマホに実装される緊急自動通報システムの法制化が議論されている。事故や事件に遭遇したときの911通報(日本では110番に相当)を、正確な位置情報とともに自動的に行う。これにより迅速かつ正確な緊急対応や救護活動が可能になる。E911の実現には、地下や建物の中でも正確な位置情報を特定する必要がある。とくに高層ビルでは何階にいるのかの情報が必須だ。

 建物内(GPS電波が届かない)で、階数を含めた正確な位置情報の把握には、高精度な気圧センサーによる高度の把握、つまりMEMSセンサーの存在が欠かせない。なお、現在のMEMSセンサーなら、階段1段の段差もセンシング可能だという。

 BSTが、MEMSセンサーにAI機能を実装する目的は「人々のQoLを向上させること」だと日吉氏は語る。PDRへの応用、インテリジェントなバイタルメーター、介護用途、食品製造や管理。これらの応用事例は、すべて人々の暮らしを快適にし、安心、安全や健康管理に貢献する。ボッシュの技術は、住みやすい社会や製品の品質向上、インフラ機能の最適化など、見えないところでつながっている。

ボッシュ公式サイトはこちら
ボッシュ センサーテックについてはこちら
《中尾真二@RBB TODAY》

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