【空飛ぶ車 レビュー】進化!!---走って飛んで、降りて走って

映画『チキ・チキ・バン・バン』からチキ・チキ・バン・バン号(1968年)
  • 映画『チキ・チキ・バン・バン』からチキ・チキ・バン・バン号(1968年)
  • 空飛ぶ車のプロトタイプの例(1946年)。翼はデタッチャブル、飛行用と走行用のエンジンは同一。
  • 空飛ぶ車、コンソリデーテッド・バルティ「コンヴェアカー・モデル118」のプロトタイプ(1947年)。翼と飛行用エンジンはデタッチャブル。コンソリデーテッド・バルティ社は現在のボンバルディア・エアロスペース社の前身のひとつ。
  • 水陸空、汎用ヴィークルの想像イラスト(1952年)
  • モールトンテイラーのエアロカー(プロトタイプ、1957年)。翼はデタッチャブルで、地上走行時は牽引して移動できるようになっていた。エンジンは自動車部分に搭載され、シャフトを接続して飛行用プロペラを回した。
  • 映画『007 黄金銃を持つ男』に登場した空飛ぶ車(1974年)。ジェットエンジン付きの翼はデタチッャブル、車はAMC『マタドール・クーペ』だ。写真はイベントに出展されたもの。
  • 映画『ブレードランナー』に登場した「スピナー」(1982年)
  • モラー「スカイカーM400」。2000年代前半にプロトタイプが製作され(エンジンはマツダ製ロータリー)、VTOLによる浮揚には成功したが飛行には至っていない。

ドローン技術の発達により、「空飛ぶクルマ」の実現に注目が集まっている。最近のニュースを振り返ってみよう。

固定翼を持ったいわゆる飛行機は、回転翼で飛行するヘリコプターより速度が速く航続も長いが、離着陸に滑走路を必要とする。従って飛行場を市街地に設けることは難しく、利用者は市街と飛行場との間のアクセスに自動車を用いて、飛行場で飛行機に乗り換えることになる。

この乗り換えの手間をはぶいて、1台ですまそうというのが空飛ぶクルマの発端だろう。第二次大戦直後からプロトタイプが作られており、当時は軍需産業の民生転換も意図されていたようだ。しかし空陸形態の転換には、人が自分で乗り換えるより手間もコストもかかるためか、空飛ぶクルマの実用化の例は今までない。

初期の空飛ぶクルマは、地上走行用の車両に対して、飛行場で翼を着脱するタイプが多かった。動力は地上用と飛行用とで兼用するもの、飛行用を別途搭載するものとある。車両が地上を走っている間、翼は飛行場で保管されることになるが、後には翼を牽引するタイプ、折り畳み式翼を装備するタイプも考えられた。テラフージア「スカイカー」(2009年)。プロトタイプは飛行に成功、開発は続けられている模様。テラフージア「スカイカー」(2009年)。プロトタイプは飛行に成功、開発は続けられている模様。

近年、ドローン技術の発達にともなって、小型垂直離着陸旅客機の実現性が高まった。少人数が乗り、任意のルートを飛行することが考えられていること、離着陸に場所をとらないので市街地でも利用できることから「空飛ぶクルマ」と呼ばれる。もっとも、これらの航空機では地上の道路を走行することは考えられておらず、利用形態としては従来のヘリコプターと変わるところはない。現在「空飛ぶクルマ」と呼ばれる多くの機体が、こういった小型航空機だ。

個人移動のための小型航空機は、すでに固定翼のビジネスジェットが世界中を飛び回っている。ホンダの『ホンダジェット』は「空飛ぶシビック」と呼ばれたりする(市場セグメントでいうとレジェンドだ)。国土の広いアメリカや都市が散在するヨーロッパ、道路が未発達な南米大陸やカリブ海では、“エアタクシー”は歴史のある一般的なサービスだ。

空飛ぶクルマ官民協議会(イメージ) (c) Joby Aviation & Toyota Motor Corporation空飛ぶクルマ官民協議会(イメージ) (c) Joby Aviation & Toyota Motor Corporation■空飛ぶクルマ官民協議会、トヨタも加盟…関西万博で飛行に向けて
http://response.jp/article/2021/05/24/346065.html
経済産業省、国土交通省は5月21日、官民関係者による空飛ぶクルマの実現に向けた「空の移動革命に向けた官民協議会」を開催し「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」を立ち上げることを決定した。

■GMが「空飛ぶクルマ」のコンセプトCGを発表、電動化の一環…CES 2021
http://response.jp/article/2021/01/19/342287.html
GMは1月12日に開催したCES 2021 の基調講演で、電動垂直離着陸(eVTOL)機のコンセプトモデルをCG動画を使って発表した。同社は講演の中で、電気自動車(EV)への移行をメインテーマとして捉えており、この開発構想もその一環として発表されたものとみられる。

■ウーバーの空飛ぶタクシー部門、トヨタ出資の米企業が買収
http://response.jp/article/2020/12/10/341168.html
米国のジョビー・アビエーション(Joby Aviation)は12月8日、ライドシェアサービス最大手のウーバーの空飛ぶタクシー部門、ウーバー・エレベートを買収すると発表した。

■福島ロボットテストフィールド、“空飛ぶクルマ”の実験にも活用…フライングカーテクノロジー展
http://response.jp/article/2020/11/05/340065.html

■eVTOLジャパンが従来型ヘリを電動化、市場投入へ…フライングカーテクノロジー展
http://response.jp/article/2020/11/05/340056.html

2020年8月25日にSkyDriveが飛行試験に成功した有人試験機「SD-03」2020年8月25日にSkyDriveが飛行試験に成功した有人試験機「SD-03」■有人飛行試験に成功したSkyDrive『SD-03』公開、触って座って確かめた…フライングカーテクノロジー展
http://response.jp/article/2020/11/04/340032.html

■空飛ぶクルマ SkyDrive CTO…トヨタやレクサスのように“個人が買える”乗り物に[インタビュー]
http://response.jp/article/2020/10/15/339380.html
日本初の「空飛ぶクルマ」を開発するSkyDrive(愛知県豊田市)は8月28日、同月25日に有人試験機「SD-03」による飛行試験に成功したことを発表した。将来の新たな乗り物としてその夢につながる成功までの過程を、同社の最高技術責任者・岸信夫氏に伺った。

■川崎重工が「空飛ぶトラック」の浮上試験に成功---Ninjaのエンジンを搭載
http://response.jp/article/2020/05/21/334798.html
川崎重工業は5月18日、「空飛ぶトラック」と呼ばれる、大型ハイブリッドドローンの試験機の浮上試験に成功したと発表した。

空飛ぶクルマを実現した社会のイメージ(国交省と経産省の官民協議会)空飛ぶクルマを実現した社会のイメージ(国交省と経産省の官民協議会)■「空飛ぶクルマ」を救急救命医療に活用など、ビジネスモデルを公表 国交省と経産省の官民協議会
http://response.jp/article/2020/03/21/332816.html

■欧州から日本へ まだ日本に存在しない空の移動を支えるインフラ企業を目指す…エアモビリティ 代表取締役社長 浅井尚氏[インタビュー]
http://response.jp/article/2020/01/21/330924.html

トヨタ自動車と提携したJoby Aviation社のeVTOLトヨタ自動車と提携したJoby Aviation社のeVTOL■トヨタ、空飛ぶ車の開発で提携…早期の実用化を目指す
http://response.jp/article/2020/01/16/330768.html
トヨタ自動車(Toyota)の米国部門は1月15日、電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発と実用化を進めるJoby Aviation社と提携することで合意した、と発表した。

■ヒュンダイ初の空飛ぶ車の画像、ウーバーと共同開発…CES 2020で発表へ
http://response.jp/article/2020/01/07/330395.html

■ヒュンダイが空飛ぶ車に参入、初のコンセプトモデルをCES 2020で発表へ
http://response.jp/article/2019/12/25/330159.html

ポルシェとボーイングが共同開発する空飛ぶ車のイメージポルシェとボーイングが共同開発する空飛ぶ車のイメージ■ポルシェとボーイング、空飛ぶ車を共同開発へ プレミアムな都市型エアモビリティ
http://response.jp/article/2019/10/13/327547.html
ポルシェ(Porsche)は10月10日、ボーイング(Boeing)と提携を結び、空飛ぶ車を共同開発することで合意した、と発表した。

■空飛ぶタクシー、ボッシュが実用化へ…自動運転と自動飛行
http://response.jp/article/2019/09/28/326985.html

ダイムラーがメルセデスベンツ博物館で行った空飛ぶタクシーのデモ飛行ダイムラーがメルセデスベンツ博物館で行った空飛ぶタクシーのデモ飛行■空飛ぶタクシー、ダイムラーがデモ飛行…メルセデスベンツ博物館で
http://response.jp/article/2019/09/17/326578.html

■スカイドライブ「空飛ぶクルマ」、2023年発売を目指す…IFA 2019
http://response.jp/article/2019/09/08/326265.html

ベルのAPT70ベルのAPT70■ヤマトとベル、「空飛ぶトラック」の実証機能実験に成功
http://response.jp/article/2019/08/28/325852.html

■【空飛ぶクルマ】SUBARU航空宇宙カンパニーが追求する安全性とCASE技術の応用…技術開発センター 自律システム設計部長 山根章弘氏[インタビュー]
http://response.jp/article/2019/07/17/324496.html
ドローン(電動マルチコプター)が人や荷物を運ぶ時代がすぐそこまでやってこようとしている。官民を巻き込んだ「空の移動革命」プロジェクトでは、機体技術の開発だけでなく、法整備を含めた社会環境の構築、ビジネスや事業化を見据えた運用モデルの議論が活発に行われている。

■【空飛ぶクルマ】MaaSの切り札を新しい産業として丁寧に育てたい…経済産業省 製造産業局 総務課 課長補佐 伊藤貴紀氏[インタビュー]
http://response.jp/article/2019/07/16/324465.html

■【空飛ぶクルマ】マルチコプターはなぜ電動なのか…SkyDrive 技術渉外VP 山本賢一氏[インタビュー]
http://response.jp/article/2019/07/16/324442.html

A.L.I.テクノロジーズの空飛ぶホバーバイク「Speeder(スピーダー)」A.L.I.テクノロジーズの空飛ぶホバーバイク「Speeder(スピーダー)」■空飛ぶバイクが2020年に発売へ、価格は1000万円?…ロケーション・ビジネス・ジャパン2019
http://response.jp/article/2019/06/13/323398.html
バイクが空を飛ぶ時代がもうすぐやって来そうだ。A.L.I.テクノロジーズ(本社・東京都港区)が幕張メッセで開幕した「ロケーション・ビジネス・ジャパン2019」に空飛ぶホバーバイク『Speeder(スピーダー)』を出展し、2020年に販売するという。

■空飛ぶクルマの開発企業向けの保険、東京海上日動が提供開始
http://response.jp/article/2019/04/01/320801.html

グッドイヤーのコンセプトタイヤ「エアロ」(ジュネーブモーターショー2019)グッドイヤーのコンセプトタイヤ「エアロ」(ジュネーブモーターショー2019)■グッドイヤーの未来タイヤ、空飛ぶ自動車のプロペラとして機能…ジュネーブモーターショー2019
http://response.jp/article/2019/03/15/320199.html

■ボーイング、「空飛ぶクルマ」の飛行試験に成功…自動、電動、垂直離着陸[動画]
http://response.jp/article/2019/01/26/318477.html

■「空飛ぶクルマ」2030年代に実用化、ロードマップを策定
http://response.jp/article/2019/01/03/317640.html
経済産業省と国土交通省の官民協議会は12月20日、日本での「空飛ぶクルマ」の実現に向けたロードマップを取りまとめた。

《高木啓》

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