【ミシュラン X-ICE SNOW 試乗】その名は伊達じゃない!現時点で最も理想的なスタッドレスだ…岡本幸一郎

ミシュラン X-ICE SNOW
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『X-ICE 3+』の登場から3年、6月30日に発表となったミシュランのスタッドレスタイヤ「X-ICEシリーズ」の新製品は、『X-ICE SNOW』と名づけられた。「ICE」で「SNOW」である。シンプルに「4」とする案もあったようだが、機能をよりわかりやすく伝えるためにあえてこうしたという。

大きく変わったトレッドパターン

ミシュラン X-ICE SNOW
念のためおさらいすると、ミシュランは日本でスタッドレスタイヤを初めて販売したパイオニアだ。また、フランスのメーカーだが、スタッドレスタイヤについては世界でもっとも過酷な条件が揃うとの認識から日本で開発している。

X-ICE SNOWは、「氷も雪も全ての冬道に、長く続く安心感を届けるスタッドレスタイヤ」がコンセプト。新コンパウンド、新トレッドパターン等の最新技術によりアイス性能と雪性能を向上し、従来品から定評のあったトータルパフォーマンスをさらに洗練させた、としている。

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よりアグレッシブな意匠を念頭に大きく変わったトレッドパターンは、縦溝がなくされたのも大きな特徴。むろん溝そのものはグリップになんら寄与するものではないので、減らしたほうがグリップの面では有利だが、排水性では不利。そこで最適なバランスを図り、溝比率を従来よりも高めた結果、ハイドロやシャーベット雪に対しても強くなっているという。サイプについてはブロックの位置により2種類を使い分けていて、形状を工夫して剛性を落とすことなく深く入れることができたとのことだ。

チャートを見ると、X-ICE 3+との比較では、アイスグリップが大幅に向上したほか、雪性能維持、ロングライフも大きく、スノーグリップ、ウェットグリップも向上し、静粛性と氷性能維持は同等となっているが、その進化ぶりは想像以上だったことをあらかじめお伝えしておきたい。

さらに一体感のある雪上性能

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3年前にX-ICE 3+が出たときも同じコースを走って相当にハイレベルなスタッドレスタイヤが出てきたなと感じ、今回も新旧を乗り比べて、いまでも十分に通用する第一線の実力を持っていることを再確認した上で、さらにこれほど伸びしろがあったことに驚いたというのが率直な第一印象だ。

製品名にX-ICE SNOWがついたことで、もっとも気になる雪上性能からまず述べると、印象的だったのは、極めて一体感のある走りを実現していたことだ。レクサス『RX』でスラロームを試みると、すぐに横力が出てトラクションもしっかりかかる印象で、X-ICE 3+もかなりのものだったステアリングの初期応答がさらに向上し、ヨーの立ち上がりに遅れがないことに驚く。

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ステアリングだけでなくアクセルやブレーキの操作に対しても応答遅れがより小さくなっていて、電子制御の入り方も、より緻密になっている。また、X-ICE 3+では舵角が大きくなるとややすっぽ抜ける印象もあるところ、X-ICE SNOWはそこもしっかりついてくる。

確認すると、ロードインデックスがX-ICE SNOWは「105H」で、X-ICE 3+は「101H」となっていた。世界的には耐過重性能や速度レンジを高くするのがトレンドとなっており、そのためにはタイヤを硬くせざるをえず、冬道での性能にも影響するわけだが、「ブロックやケースを動かせないことによる不利なところはあるが、そこは設計が上手くチューニングしている」と開発関係者は話していた。

ただ、いくらなんでも新旧で違いすぎる気もしたのだが、それは新旧というより銘柄による販売地域の事情があるようだ。

雪上性能以上に上がり幅を感じられた氷上性能

ミシュラン X-ICE SNOW
このように雪上性能についてはチャートでの上がり幅よりもずっと上がったように感じられたわけだが、肝心の氷上性能もかなりのものだ。新商品は雪上性能の向上がメインテーマかと思いきや、そうではなくむしろ氷上性能のほうが上がり幅としては大きいことは、チャートにも示されているとおりだった。

発進~停止を試しても、それは明らかだ。一定条件を保てるドーム施設の中で、VW『ゴルフ』で1速固定で全開加速し、パイロンを目安に20km/hを超えたところでフルブレーキングして完全停止し、発進から20km/hに達するまでと、完全停止するまでの距離を、専用の計器を用いて計測したみたところ、その差は歴然だった。

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実はX-ICE 3+もなかなかのものだが、そんなX-ICE 3+に対してもX-ICE SNOWは圧倒的に短い。トラクションコントロールやABSの介入の仕方も違って、よりしっかり路面を捉えている感覚が伝わってくる。X-ICE SNOWはあまり空転することなく最初からぬるぬると加速していき、短く止まれる。体感的には加速のほうが差は大きく、計測結果もそのとおり。X-ICE 3+は加速が17m台中盤、制動が約8mだったところ、X-ICE SNOWでは15m台前半と約7mまで縮まった。この差は小さくない。

「エバーウィンター グリップ コンパウンド」の威力

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さらに、屋外でアイスとスノーの混在した路面のコースを『クラウン』で走行。圧雪上で50km/hでフルブレーキングしてもイメージしたよりも短く止まれることや、発進性や車速の乗りのよさを実感。また、クラウンのVSCはけっこう攻めていて、介入が遅めでドライバーのコントロールできる領域が多く残されているのだが、X-ICE SNOWはコーナーでも安定していて挙動の乱れが小さく、乱れてもリカバリーしやすいことにも感心した。

むろん一連の雪上や氷上で見せた性能には、従来の「Mチップ」に替えて新たに採用した、従来よりも高い剛性と使用限界まで続くしなやかさを併せ持ち、不均質による摩耗の速さの違いで生じる凹凸により有効なグリップが長期にわたり発揮されるという「エバーウィンター グリップ コンパウンド」という独自のポリマーベースの配合物が少なからず寄与していることは間違いない。これにより優れた諸性能が長きにわたって維持されるというのも大きな魅力に違いない。

ミシュラン X-ICE SNOW

「現時点でもっとも理想的なスタッドレス」

3年分の進化を盛り込み、ミシュランがかねてより重視する「ICE」性能を極めるとともに、「SNOW」性能をつきつめたことはネーミングにもこめられたとおり。走るほどに驚きの連続であった。そして最後に圧雪や凍結に加えて一部に舗装路面が表れた公道を走行して、その安心感の高さとミシュランの真骨頂であるトータルパフォーマンスをあらためて実感した。

そんなX-ICE SNOW、現時点でもっとも理想的なスタッドレスタイヤではないかと思った次第である。

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岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《岡本幸一郎》

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