魅力的なルックスとオン/オフ不満なく走れる性能…横浜ゴム『X-AT』登場

横浜ゴム『X-AT』
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横浜ゴムでは中期経営計画において、オフロードタイヤについても市場環境の変化に対応した事業戦略を進めている。

横浜ゴムのオフロードタイヤブランドである「ジオランダー」には、スタンダードラインである同『M/T』、『A/T』、『H/T』、『SUV』に加えて、プレミアム層やコア層に向けた「Xシリーズ」の『X-CV』、『X-MT』といったラインアップがすでに揃っている。そこにこのほど加わった『X-AT』は、「A/T」と「M/T」の中間的な性格を持つ新しい位置づけのニューモデルとなる。

トレンドに合わせた、ルックスと快適性、オフロード性能の融合

その背景には以下の事情がある。このところ都市型のクロスオーバーSUVの販売が大幅に増加する一方で、フレームを持つオフロードタイプのSUVやピックアップも増加している。

ただし、実際にオフロード走行をたしなむユーザーは少ない。それでも見た目はよりオフローダーらしいほうが好まれる傾向で、ルックスを重視したカスタムがトレンドとなっており、タイヤについても、それに合わせた商品が求められるようになってきた。

そんな中、「A/T」は環境規制や快適性の要求性能等からオンロード指向がますます強まっているのが世の中の流れ。そうなるとどうしてもおとなしめのパターンしかできなくなる。

その一方で「M/T」はよりオフロード色の強いほうが好まれるようになり、「A/T」と「M/T」の差がますます拡大しつつあった。そこで、「M/T」のようなルックスと、「A/T」のような快適性と、十分なオフロード性能を併せ持つタイヤのニーズが生まれたことを受けて開発されたのが、今回の「X-AT」である。

ご覧のとおりアグレッシブなルックスと「A/T」よりもずっと優れたオフロード性能を備え、快適性能を確保しつつ摩耗寿命や耐久性能の向上を図ったという「X-AT」は、サイドブロック部のデザインが両側で異なるのも大きな特徴のひとつだ。トレッドデザインからつながる凹凸量の大きいブロックがサイド上部まで展開された、大型ブリックタイプとラグタイプの「デュアルサイドブロックデザイン」により、好みのデザインを車両外側にくるように装着できる。また、ワイドトレッド化により接地幅を広げ、トラクションと耐偏摩耗性能を向上させたほか、大型リムプロテクトバーの採用によりホイールを保護している。

「M/T」と遜色ないオフロード性能と、それを凌駕する耐摩耗性と静粛性

装着された車両を目にすると、タイヤの存在感が際立っているのは見てのとおり。配布された資料によると、「M/T」に対してオフロードトラクションとサイド耐久性は近いレベルにあり、耐摩耗性と静粛性では上回ることが記されていた。そして実際にオフロードをドライブしても、まさしくそのとおりであったことを、あらかじめお伝えしておこう。

試乗会が開催された「浅間火山レース」の跡地というのは、実は62年前の1957年に開催された2輪車のレースに初めてタイヤを供給した、横浜ゴムにとってモータースポーツ活動の原点といえる記念すべき場所でもある。

砂や砂利のフラットダート性能を試す外周と、土のダート性能を試す内周に分かれたオフロードの試乗コースで、まず『プラド』で外周を走る。比較的車速の乗る平坦な区間を過ぎたあと、途中に車体がかなり斜めに傾いた状態で深く掘れた砂地に下り、そこから上り勾配を駆け上がるという難所があるのだが、そこもアクセルさえしっかり踏んでいればのぼっていける。グリップは申し分ない。

ついで競技向けのパーツが装着されたTRD仕様の『ハイラックス』に乗り替えてコースイン。競技仕様ゆえ乗り心地は硬めながら、プラドで少し感じた微小舵域での応答遅れがこちらでは気にならなかったのは、やはり市販車と競技仕様車の違いだろう。コーナリングでの安定感も高く、こうした本格的な競技仕様のクルマに装着してもタイヤがぜんぜん負けていない印象であった。

続いて『ラングラー』と『タンドラ』で内周へ。ここではパートタイム4WDを切り替えて、2WDと4WDの違いも試してみた。むろん路面は非常に滑りやすく、外周よりもずっと凸凹が大きかったのだが、2WDでもけっこういけたのは、それだけグリップが高いということの表れ。そして4WDに切り替えると、こうした路面ながら、ちょっと大げさだがスイスイと走れてしまうほどであった。

一見すると「M/T」に比べてトレッドにブロックが密集しているように見えて、「M/T」ほどの排土性能を得るは難しい気もしたのだが、開発責任者によると、オフロードに効くトレッド外側やショルダーに、「M/T」よりも多く溝を配するとともに、ショルダー溝や縦溝の底に凸部を設けたストーンイジェクターにより、スムーズに泥ハケされるようにしたとのこと。また、「X-AT」の場合、溝自体は狭く、溝で咬むよりもエッジで咬んでいて、互い違いにブロックを配することで常にひっかかるようにトレッドパターンとサイプをデザインしており、「M/T」とはグリップのメカニズムが違うのだという。

むろん走ったクルマの性能もそれなりに高いわけだが、全体としては「A/T」と名が付きながらも、レーダーチャートでも「M/T」とかなり近いレベルにあるとおり、こうした厳しい路面でもまったく問題なく走れることを確認できた次第である。

オンロードでも不満なし、オンとオフの最適なバランスと静粛性

これでオンロードも不満なく走れれば大したものなのだが、「X-AT」はまさしくそうだった。装着したラングラーで会場周辺を走行したところ、舗装路といっても路面はかなり荒れていて、乗り心地としては不利な状態だったにもかかわらず、あまり不快に感じることもなく走ることができた。

こうしたブロックの独立した派手なデザインとしながらも、偏摩耗の抑制などオンロードでの性能も確保するため、3プライ構造やナイロンフルカバーの採用による内部構造を強化したほか、「M/T」系ながら若干硬いコンパウンドを採用しており、それゆえ当たりの強さを感じなくはないが、けっしてゴツゴツとした印象ではない。操縦安定性も十分に確保されており、コーナリングで頼りなさを感じることもない。これにはトレッドブロック間にブリッジを配することでブロックの倒れ込みを抑えたことも効いているに違いない。加えて、微小舵域の応答性やフラつきについても、センターの接地角の変化しやすい部位について、できるだけ強くしたほうがオンロードでは有利なのだが、あまりやると見た目やオフ性能が落ちるので、ゴムの硬さやブロックの形状を工夫し、最適なバランスを図ったという。

さらには、こんなルックスのタイヤとは思えないほど静粛性に優れることにも驚かされた。これにはピッチ数や配列を工夫してエッジ成分のピークを分散するようにしてパターンノイズの低減を図ったことが効いているようだ。荒れた路面ですらそうなのだから、普通の一般道ならもっと気になることはないのではないかと思う。

オフロードタイヤとはいえ、大半のユーザーはオンロード主体で走るもの。こうしたオンロードにおける優れた快適性は、日本でも多々販売されている海外製の低価格タイヤとの大きな違いでもある。実際の話、その多くは見た目重視で開発されており、性能的にはなおざりなものばかりで、履いてみてがっかりした人は少なくない。その点で「X-AT」は
価格差あっても納得してもらえるだけの差をつけることができていると開発関係者も自負しているという。

このように魅力的なルックスとオン/オフ問わずどこでも不満なく走れてしまうオールマイティさを誇る「X-AT」は、まさしく誰にでも薦められる、いまの時代にピッタリのオフロードタイヤであった。

岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《岡本幸一郎》

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