YAMAGATAのブースではクラシックミニ、それもかなりのチューニングを施したスパルタンなマシンが置かれ、それをARゴーグルで覗いている来場者がいた。これはマイクロソフトが開発したHMD(ヘッドマウントディスプレイ)型のウエアラブルコンピュータ「HoloLens」を用いた故障診断装置「HoloGARAGE」のデモだった。
電子制御が高度化した現在の乗用車は、車両側のOBD2ポートというサービスコネクターに診断機を接続すれば、故障の履歴や故障の原因箇所、エンジンを運転状態にしてセンサーの動作状況を表すライブデータなどが見れる。それらの情報からメカニックはトラブルの原因と修理の方法を導き出すのだ。
HoloGARAGEは、それをARで可視化するというのが1つの特徴。クルマを透過してトラブル箇所を確認できることにより、非常に分かりやすく迅速な対応ができるそうだ。
試しにHoloLensを装着して、HoloGARAGEを疑似体験させてもらうと、車体を眺めると隠れているワイヤーハーネスやセンサーがグラフィックでクルマの上に描かれて位置を示しているのが分かった。診断するとトラブルの履歴があるセンサーが赤く点滅して、その種類と位置を教えてくれる。各種センサーなど同じ種類の部品であっても、車種によっては取り付け場所が分かりにくいこともあるが、このシステムであればクルマを見るだけでトラブルの種類と具体的な原因箇所を特定できるのだ。
さらにもう一つのメリットとして、整備作業中のメカニックは手が汚れている。その状態でもサービスマニュアルを読んだり診断機を利用することができるのだ。診断機を利用するとしてもグローブを脱着する手間さえ不要で、メニューからサービスを選んだり、画面を閉じる際には画面中央のポインターを指で摘む動作をするだけ。
そもそも同社はクルマのサービスマニュアルやオーナーズマニュアルを制作、印刷する会社。そこでこれまで培ったノウハウを活かして、新しいカタチのサービスマニュアルを作り上げたのがHoloGARAGEなのである。
このHoloGARAGE、今年1月に発表されたばかりのシステムで、現在は7月のサービス開始に向けて急ピッチで開発が行われているそうだ。メカニック不足が懸念される昨今、仕事をしやすく、より楽しめるためのデバイスは歓迎されそうだ。