自動車部品の樹脂化が進む---島津製作所、高速衝撃試験機を発売

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島津製作所HITS-TX
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島津製作所は15日、プラスチックや樹脂複合材料の引張試験を最速20m/s(=72km/h)で行える高速衝撃試験機「HITS-TX」を発売した。

近年、自動車業界を中心に、様々な部品を加工性に優れる軽量な樹脂系素材や高機能な樹脂複合材料に置き換える動きが拡大している。島津製作所によると、衝撃特性や強度に関するデータを安全性のシミュレーションに利用するため、高速な引張試験が注目されているという。

島津製作所のHITS-TXは、最速20m/秒、最大試験力10kNで高速な引張試験を行える装置だ。データ処理方式を一新したことで、一般的な速度の引張試験のようなノイズの少ない波形を得ることが可能になった。

世界トップクラスとなる秒間1000万コマの最高撮影速度を有する同社の高速度ビデオカメラ「Hyper Vision(ハイパービジョン) HPV-X2」を組み合わせて使用すれば、材料の衝撃物性と破壊挙動のデータを同時に取得できる。

また、欧州連合におけるRoHS指令(有害物質使用制限指令)および規格適合を示すCEマークにも対応させたことで、日本国内だけでなく、欧州地域を含む全世界での展開を開始する。

高速引張試験には公的に定められた試験規格が存在していないことから、近年、ISO(国際標準化機構)で規格の必要性が議論されている。2003年から高速引張試験が可能な装置を提供している島津製作所は、プラスチックや樹脂系複合材料の評価技術の確立をめざす日本の素材メーカーとともに、規格の制定を推進していく。

価格は2900万円(ソフトウェア込み、税別)。自動車メーカーや素材メーカー、受託試験企業などを顧客に想定し、販売目標は3年間で50台。

《高木啓》

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