意識障害の症状を免許更新時に虚偽回答---事故で死亡の男を書類送検

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今年6月、栃木県鹿沼市内の県道で発生し、2人が死傷した多重衝突事故について、栃木県警は9日、事故で死亡した34歳の男が運転免許更新時に虚偽申告を行ったとして、道路交通法違反(質問票への虚偽申告)容疑で書類送検した。

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免許更新時の質問票回答は2014年6月の道交法改正によって義務付けられたが、こうした制度や、意識障害を認識した上での運転による事故で危険運転罪を適用するといった厳しい罰則が導入された背景には、本件事故と同じく鹿沼市内の国道293号で2011年4月18日に発生し、6人の児童が死亡した自走式クレーン車の暴走事故がある。この事故の運転者もてんかん発作による意識障害の病状があることを認識しながら、これを申告することなく免許の交付を受けていた。

「運転できなくなる」という恐怖が虚偽記載をさせてしまうのかもしれないが、クルマのコントロールができない状況での事故に至ったときの結果は重大であり、周囲の無関係な人まで巻きこむ悲惨なものとなる。

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栃木県警・鹿沼署によると、問題の事故は2017年6月25日の午後1時55分ごろ発生している。鹿沼市上野町付近の県道(片側1車線の直線区間)で、信号待ちをしていた車列に対し、後ろから速度を落とさぬまま進行してきた乗用車が追突。車両4台が関係する多重衝突に発展し、追突車を運転していた同市内に在住する34歳の男が死亡。車列最後部に位置していたクルマの運転者が骨折などの重傷を負った。

追突してきたクルマは約500m手前でも縁石に接触する事故を起こしており、警察では死亡した男が運転中に意識を失った可能性を含めて調べを進めてきたが、男にはクルマの運転に支障を及ぼす特定の症状を有していたことが確認された。症状を抑える薬を服用しており、医師からも「クルマの運転はなるべく控えるように」と指示されていたこともわかった。

道交法では運転免許の取得条件として「運転に支障をきたす発作が2年間発生していない」というものがあり、更新する際にも「過去5年以内に意識を失ったことはあるか」など、症状を確認する質問票に回答する義務がある。しかし、男は2015年に免許更新を行った際、「症状なし」と虚偽の記載を行っていたことが調べによって判明した。

警察では症状があるにもかかわらず、運転免許更新のために虚偽の申告を行ったと判断。男を被疑者死亡のまま道交法違反で書類送検している。質問票への虚偽記載での書類送検は栃木県では初ケースだという。

《石田真一》

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