東名高速道の交通トラブル死傷事故、発端となった男を危険運転罪で起訴

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今年6月、神奈川県大井町内の東名高速道路下り線で発生した交通トラブルを発端とする死傷事故について、横浜地検は10月31日、福岡県中間市内に在住する25歳の男を危険運転致死傷や暴行の罪で起訴した。

問題の事故は2017年6月5日の午後9時35分ごろ発生している。大井町内の東名高速道路下り線(片側3車線)で、第3車線に停止していたワゴン車2台に対し、後ろから進行してきた大型トラックが追突。後方のワゴン車に乗っていた4人が死傷。前方のクルマに乗っていた2人が重軽傷を負った。

前方のクルマを運転していた25歳の男は「後ろのクルマに煽られた」などと主張していたが、後方のクルマに乗っていて負傷した同乗者が「パーキングエリア(PA)で通行を巡ってトラブルとなったクルマが追いかけてきて、自分たちのクルマの進路を塞いだりして走行を妨害した」、「進路を塞がれて止められた直後、前のクルマから降りてきた男が、後部座席に同乗していた父親(=事故で死亡した45歳男性)を引きずり下ろそうとした」などと証言。警察は事故と同時間帯に通行していた200台以上の車両を割り出し、運転者などから任意で事情を聞いたところ、男のクルマが中井PAから約1.4kmに渡り、執拗に走行妨害を繰り返していたことが判明したため、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失致死傷)などの容疑で逮捕した。

男がクルマから降車した後、他車両の追突によって発生した事故ということもあり、警察は「運転中の事故ではない」として危険運転致死傷の適用を見送ったが、検察は「男は最初にトラブルが起きたPAから被害者のクルマを追走し、走行妨害によって停止させた上で被害者に暴行しており、死傷に至った事故は本線上に車両を停止させたことによって引き起こされた」と判断。追走~妨害~強制抑止~事故誘発を「運転中からの一連行為」とみなし、危険運転致死傷罪を適用して起訴している。

危険運転罪は「運転行為によって発生したもの」を対象としており、運転時から続く行為とみなした場合であれ、今回のような交通トラブル事件に適用するのは極めて珍しい。

《石田真一》

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