これぞライトウェイトスポーツと言わんばかりの軽快感ある佇まい。フロントマスクがより低い位置にあり、対照的にテールが跳ね上がったクラウチングスタイルの車体は新しさに満ちあふれると同時にデュークらしさもある。
単気筒モデルならではのスリムさがありながら、タンク部が左右へ豪快に張り出した迫力あるボディラインもスタイリッシュだ。
開発コンセプトに掲げた「ザ・コーナー・ロケット」という言葉どおり、コーナリングが楽しい。軽快に振り回せるといった感覚で、タイトコーナーも狙ったラインにズバっと飛び込んでいける。
WP製の倒立式フロントフォークはトラベル量を150mmから142mmにあえて減らし、節度のあるスポーティなハンドリングをもたらした。ストロークの奥で踏ん張りが効き、プログレッシブな特性を強めたスプリングに換装したリアショックともども、旋回力を高めることに貢献している。
最高出力31PSの単気筒エンジンは相変わらず元気溌剌としていて、スロットルレスポンスも鋭い。駆動力を思い通りに引き出せるのは、ライドバイワイヤ(電子制御スロットル)の導入によるところが大きく、右手のグリップ操作に忠実。
たとえば、アクセル全閉から開度1/8のようなジワーっと駆動力を得てトラクションを稼ぎたいときなどにも思い通りの操作ができた。
スリッパークラッチの採用により、高回転からも容赦なくシフトダウンでき、走りの次元を1ランク上げている。高回転をキープして走るこのクラスだから、なおさらありがたい。
今回はサーキットでの試乗だったが、扱いやすいエンジンと軽快な車体は街乗りもしやすく、乗り手を選ばないフレンドリーさも従来どおり。
スタイリッシュになって、より走りに磨きをかけた新型『250 DUKE』。シングルスポーツっていいよなぁって改めて感じさせてくれた。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。