日本のスポーツカーの歴史は フェアレディ の歴史? 三樹書房

モータースポーツ/エンタメ 出版物
『ダットサン/ニッサン フェアレディ』
  • 『ダットサン/ニッサン フェアレディ』
  • ダットサンスポーツ(DC-3型)
  • ダットサン・フェアレディ2000(ハードトップ付き)

『ダットサン/ニッサン フェアレディ』
日本初のスポーツカーの系譜 1931~1970
著者:当摩節夫
発行:三樹書房
価格:3800円+税
ISBN978-4-89522-665-3

「ダットサン」と言えば、日本のモータリゼーションの夜明けを語る上で無くてはならない名前である。「ダットサン」は1930年代の量産化当時、「ダット自動車」が生産する自動車の名称であったが、瞬く間に世間に浸透し、小型自動車全般を指す一般名詞と化していたほどだ。

「ダットサン」は初期の段階から、様々なボディバリエーションを持っていた。戦後の混乱期を乗り越えて発展を続けたモデルの中には、「スポーツ」の名を冠したものもあった。これが日本初のスポーツカーと言われる、「ダットサンスポーツ(DC-3型)」である。つまりは、ダットサン/ニッサン/日産のスポーツカーの系譜を紐解くことは、日本のスポーツカーの歴史を紐解くことであると言えよう。

本書では、ダット自動車の前身となった「快進自動車工場」時代から、1970年代までにリリースされた『フェアレディ』全モデルの歴史を、貴重な資料と共に解説している。戦前のレースシーンを彩った「多摩川スピードウエー」や「船橋オートレース」での活躍等、本書での見どころは数あるが、中でも圧巻は、100ページに渡り掲載された当時の自動車カタログである。

戦前のものも含むこれらのカタログは存在そのものが貴重であり、めったにお目にかかることができないものばかりである。これだけのカタログを取り扱うことができるのは、1954年から世界の自動車カタログを収集してきた著者だけであろう。掲載されたカタログは実際に販売促進に使用されたものであり、そのモデルのバックグラウンドを雄弁に物語る。

堅苦しい説明文ばかりで面白みにかける歴史解説書と異なり、本書は読者を選ばない。スポーツカーの歴史をこれから学びたい諸氏はもとより、フェアレディたちを深く愛するすべてのエンスージアストに強くお勧めしたい良書である。
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《山里真元》

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