【セミコン16】和歌山工業高専、世界初の低環境負荷型CATS薄膜太陽電池を披露

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和歌山工業高等専門学校が開発したCATS薄膜太陽電池
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和歌山工業高等専門学校は「セミコン ジャパン2016」で新たな太陽電池を披露した。それはCATS薄膜太陽電池で、非常に環境負荷が低いというもの。しかもその厚さはなんと1ミクロン。もちろん世界初の代物だ。

薄膜太陽電池といえば、CIGS太陽電池が有名だが、この電池は銅(Cu)、インジウム(I)、ガリウム(G)、セレン(S)が原料となっている。しかし、銅以外は希少金属で価格も高く、手に入れにくい。そこで、もっと安く手に入れやすい原料でできないだろうかと開発したのが、今回披露したCATS太陽電池だったのだ。

「CATS太陽電池は銅、銀、すず、硫黄が原料でコストが安いんです。今主流のシリコン系の太陽電池よりも安くできます。しかも非常に薄くて、曲げることもできるんです」と同校関係者は説明する。

しかし、まだまだ課題も多く、その最大のものは変換効率。現在、太陽電池の変換効率の平均は約15%で、CATSは4%ほど。そのため、実用化するには変換効率を大きく上げる必要がある。

「シリコン系の太陽電池も開発されたのが1954年で、ここまで来るのに50年以上かかっています。CATS太陽電池は開発を始めてから5年、当面は10%を超えることを目標に開発を進めていく。10年後にはなんとかシリコン系に近いところまで行き、何か製品に使われるようにしていきたい」と同校関係者は力強く話していた。

《山田清志》

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