29日、ボッシュの女満別テストコースにおいて、同社の自動運転やADAS技術搭載車の試乗会が開催された。開発中の対歩行者緊急ブレーキシステムや危険回避操舵アシストなどいくつかのデモや試乗が体験できた。
その中で、すぐにでもすべての車に取り付けてほしい機能がひとつあった。駐車時衝突緊急ブレーキ(MEB:Maneuver Emergency Break)と呼ばれる機能だ。前後のバンパーに6つずつ計12個の超音波センサーを取り付け、駐車など低速走行を想定した衝突防止ブレーキだ。
超音波によるコーナーセンサーによる警報システムなら珍しくないが、MEBでは、周辺の障害物位置と舵角、進行方向を計算し、衝突や接触すると判断したら強制的にブレーキによる停止を行ってくれる。コーナーセンサーはあくまで対象との距離の警報をだしてくれるだけだが、MEBはドライバーが見えていても見えていなくても、車になにかが当たる、こすると判断すればブレーキを踏んでくれる。
慣れない駐車場で柱や消火栓に車をこすったり、という事故を防いでくれる。狭い路地でも同様に壁や電柱との接触を回避できる。それだけでなく、駐車場で飛び出してくるカートや子ども(動く物体)でも反応してくれる。
衝突コースを計算するため12個の超音波センサーが必要だが、レーダーやスキャナーを使うわけではないので、実装のハードルは低いはずだ。センサーの他はECUと電動ブレーキがあればよい。シンプルな構成で期待できる効果が高いので、すぐにでも多くの車に実装してほしいと思うのだが、ボッシュ担当者に聞くと、やはり12個のセンサーがネックらしい。4つ、6つくらいまでなら載っている車種はあるので、メーカーとしては必要なセンサーがもう少し少ないといいそうだ。
ボッシュは駐車に関するADAS技術にこだわりを持っている。同社の自動駐車支援システムは、MEBと同様に超音波センサーだけで空きスポットの検出、自動駐車(車庫入れ・縦列)を実現している。スマホアプリによる遠隔操作も可能で、実際のデモは車から降りた状態で行った。また、空きスポットの検知や駐車シーケンスは左側通行を想定したものだった。
カメラを使っていないので、白線だけで周りになにもないと機能しないが、カメラやその他のセンサーとの併用は考えているという。ただし、超音波センサーだけでも、片側に駐車車両が1台でもあれば自動駐車は可能だという。
また同社は、サラウンドビューにおいて4台のカメラと超音波センサーを併用して、独自の立体画像を生成する技術も持っている。俯瞰のビューを再生するだけでなく、車の周辺、任意の位置に立った状態でのリアルな映像を再現できる。