ISG(発電機一体型スターター)の電圧を高めて効率を高める48Vシステムのマイルドハイブリッドは欧州メーカーを中心に導入のための開発が進められているが、今回の人とくるまのテクノロジー展では、さらに発展したシステムが見受けられた。
アシストのためのモーターであるISGだけでなくダウンサイジングターボを組み合せ、さらに電動ターボにより過給圧の立ち上がりを改善しようというものまで出現している。
リカルドとAVLが展示したのは、48Vシステムを組み合せたダウンサイジングディーゼルだが、どちらもさらに一捻りされたパワーユニットを開発中のようだ。
AVLは件の電動ターボによるアシストを追加しており、加速時にはISGと電動タービンの両方が電力を消費することから、電源システムはかなり大掛かりなものを組み合せていた。エンジンの排気量は1.7リットル。おそらく搭載を想定しているクルマは普通クラスの乗用車だろうから、従来より相当排気量が小さいディーゼル車となるイメージだ。
リカルドの方はさらにユニークで、1.5リットルのターボディーゼルに48Vシステムを組み合せ、ターボチャージャーのタービンを通過した排気ガスに残っているエネルギーをeタービンと呼ぶタービン型発電機で回収し、ISGを回す電力として蓄えるようだ。ただしEGRは高圧のみ、という構造になっていたから、排ガスのエネルギー回収はますます取り合いになりそうである。
eタービンを経由せずDPFなどの後処理システムへ直接排気ガスを導くための切り替えバルブも備えられていた。これはDPFの再燃焼時に切り替えるための機構だろう。
それにしてもここまで補機類が高度にシステム化されてくると、むしろエンジンが補機類を動かすための脇役にも思えてくる。はたしてエンジンと補機類のどちらが主役か分からなくなってくる。それくらい今後、エンジンの効率化にとって補機類の高度化は不可欠。燃焼技術による熱効率向上よりも、熱損失の回収を進める方向の方が実現は早そうだ。