横浜ゴム、ゴム技術の研究で日本ゴム協会 優秀論文賞を受賞

自動車 ビジネス 企業動向
表彰状を手にする清水克典氏(左)と 網野直也氏
  • 表彰状を手にする清水克典氏(左)と 網野直也氏
  • シンクロトロン放射光源を利用した分解能の高い光電子分光法によって、複雑な波形の分離が可能となった。これにより、タイヤ中のスチールコードとゴムとの接着界面をより詳細に解析することができるようになった

横浜ゴムは、同社技術者がゴム技術の研究で、日本ゴム協会「第63回優秀論文賞」を受賞したと発表した。

優秀論文賞は今年で63回目となる歴史ある賞で、過去3年間に日本ゴム協会誌に発表された論文の中から特に優秀なもの2件を表彰する。今年は横浜ゴムの清水克典氏、鹿久保隆志氏、網野直也氏と共同研究者の小澤健一氏(東京工業大学)による論文「X線高分解能光電子分光を用いた黄銅/ゴム接着界面観察」が選ばれた。

自動車用タイヤに用いられるスチールコードには黄銅めっきが施されている。加硫工程において、黄銅とゴムに配合された硫黄が化学反応を起こし接着層を形成することで接着力が生まれる。従来の研究により黄銅めっき由来の銅とゴム中に含まれる硫黄の化学反応により、ゴム/黄銅界面に硫化銅層が形成されることが知られているが、これらは一般的なXPSおよびオージェ電子分光法での測定結果で、詳細な化学組成を調べるには不十分だった。

受賞論文では、シンクロトロン放射光源を用いた高分解能光電子分光法(PES)を用いてゴム/黄銅接着界面分析を試み、接着層の形成過程および分布について解明。ゴムとスチールの接着に限らず、金属と高分子の接着にも本手法が適用できる可能性が高く、工業的にも重要な論文であるとして、優秀論文賞に選出された。

《纐纈敏也@DAYS》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集