国内建設関連100社アンケート…「建設市場は19年にピーク」

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建設市場の長期予測(全体)
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  • 環境変化への対応策(全体)
  • 環境変化への対応策(ゼネコン)

 日刊建設工業新聞社は、ゼネコンや建築設計事務所、建設コンサルタントなど建設関連100社の経営者を対象に、建設市場の動向や環境変化への対応で注力する取り組み、成長が期待できる事業分野・領域などについてアンケートした(有効回答81社)。

 □市場見通しー2019年がピーク、維持・更新に需要転換□

 2015年の建設市場を基準に長期的(16~25年の10年間)な市場動向を予測してもらった結果、19年までは「増加」または「やや増加」とするとの回答が多かった。だが、20年を境に「同水準」も含めたこれら回答の割合は減少。東日本大震災の復興事業や20年東京五輪に関わる需要の動向などを見通し、当面の建設需要は19年にピークを迎えると見ている経営トップが多いようだ。

 20年以降については、「財政健全化に向け公共投資が抑制される」「市場環境の低迷は避けられない」「景気が落ち込む可能性が強い」など厳しい市場環境を危惧する声が目立つ。長期的には市場の縮小傾向が続くとの見方が支配的だ。

 一方で、建設市場は大きく変動せず、底堅く推移するとの意見も少なくない。「景気変動に伴い微増減はあるものの、基本的には15年と同じ水準で推移する」(白石達大林組社長)、「安全・安心、維持管理更新の需要は増大するので建設市場は大幅な減少に至らない」(村田和夫建設技術研究所社長)、「インフラの点検・補修・修繕は五輪と関係なく待ったなしの状態。(五輪後も)現在の水準またはやや減少と予想する」(岩田裕美NIPPO社長)などの意見が寄せられた。

 五輪関連事業のような特需は期待できないが、「都市の再開発やインフラ老朽対策、リニア中央新幹線など一定の社会資本整備が見込まれる」(宮本洋一清水建設社長)、「リニューアル市場の伸びが見込まれる一方、維持更新では対応しきれないストックの建て替えや再開発の需要も想定される」(宮下正裕竹中工務店社長)との見方もある。社会資本ストックをどう維持・修繕・補修していくかは社会的な課題であり、こうした需要の質的転換につながる市場ニーズは続くと予測する経営トップは多い。

 □変化への対応ー人材確保・育成、生産性向上で□

 アンケートでは、市場変動や環境変化にどう対応していくかについて「現場生産性の向上」や「海外事業の拡大」など10項目を挙げ、特に重要と捉える5項目まで選択してもらった。その結果、経営者の回答で多いのは「人材の確保・育成」(71人)、「現場生産性の向上」(62人)、「海外事業の拡大」(51人)、「技術開発の強化」(48人)、「新規事業分野の開拓」(38人)だった。

 長期的視野で成長が期待できる事業分野・領域には、「維持・更新」「防災・減災」「エネルギー・環境」などを挙げる経営トップが多い。

 このほか、「CM、PPP、PFIなど従来型請負以外の事業分野の拡大。海外ではアジアの新市場の開拓による受注増を見込む」(押味至一鹿島社長)、「国土のグランドデザイン・電力の自由化などの動きを踏まえた都市再開発や、ICT(情報通信技術)を活用した新しい社会インフラの構築」(鈴木正俊ミライト・ホールディングス社長)、「国内観光産業に類する分野」(山田幸夫久米設計社長)、「介護・高齢者支援」(久米雄二トーエネック社長)、「健康・安全を目的とした資産価値向上を図るリフォーム」(堀秀充YKKAP社長)など多様な分野・領域が挙げられた。

 今後、縮小していくと見る分野・領域は、「既存分野の新設・新築」との回答でほぼ一致。「特定の分野・領域が縮小するというよりも、人口減に伴う需要減少や公共部門の財政的制約などの中で、市場全体が引き締まると予想する」(村田誉之大成建設社長)との意見もあった。

 新規の事業分野としては、エネルギーや環境、医療、PPP・PFIなどを挙げる経営トップが目立つ中、「国内は高齢化社会に伴って需要が見込まれる各種分野。海外は新興国における都市基盤整備事業」(亀井忠夫日建設計社長)、「アセット保有型ビジネス(再生可能エネルギー事業や民間都市開発プロジェクトなど)」(有元龍一日本工営社長)などの回答も寄せられた。

 《アンケート回答企業一覧》(業種別、50音順)

 【ゼネコン】
 △青木あすなろ建設△淺沼組△安藤ハザマ△大林組△奥村組△鹿島△熊谷組△鴻池組△五洋建設△佐藤工業△清水建設△大成建設△大豊建設△竹中工務店△竹中土木△鉄建△東亜建設工業△東急建設△東鉄工業△東洋建設△戸田建設△飛島建設△西松建設△日本国土開発△長谷工コーポレーション△ピーエス三菱△フジタ△前田建設△三井住友建設

 【デベロッパー】
 △大京△野村不動産△三菱地所△森トラスト

 【建築設計】
 △梓設計△石本建築事務所△久米設計△佐藤総合計画△日建設計△日本設計△三菱地所設計△安井建築設計事務所△山下設計

 【建設コンサルタント】
 △ACKグループ△エイト日本技術開発△応用地質△オオバ△建設技術研究所△長大△日本工営△パシフィックコンサルタンツ△八千代エンジニヤリング

 【建築設備】
 △協和エクシオ△きんでん△弘電社△コムシスホールディングス△三機工業△三建設備工業△ジョンソンコントロールズ△新日本空調△住友電設△大気社△大成温調△ダイダン△高砂熱学工業△東光電気工事△東洋熱工業△トーエネック△日比谷総合設備△富士古河E&C△ミライト・ホールディングス

 【道路舗装】
 △大林道路△鹿島道路△世紀東急工業△東亜道路工業△NIPPO△日本道路△前田道路

 【資機材メーカー】
 △三和ホールディングス△住友大阪セメント△太平洋セメント△YKKAP

国内建設市場は19年にピーク? 建設関連100社アンケート

《日刊建設工業新聞》

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