ロードバイク歴わずか半年…無謀と知りつつグアム1周に挑戦

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グアムの市街地を走る
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平均気温が28度と一年中暖かく、透明度の非常に高い海は息を呑むほどに美しい。世界有数のマリンスポーツのメッカとしても知られるリゾート地グアム。島の面積は、淡路島とほぼ同じ541平方キロメートル。クルマであれば、ゆっくり走っても4時間ほどで一周できてしまう大きさだ。

雄大な青空に、気持ちの澄み渡る美しい海、リゾート地ならではの自然を楽しみながら、のんびり島を見て回るのは最高に気持ちがいい。いっそのこと、サイクリストであれば島を自転車で一周してしまおう、そう考える人もいるかもしれない。

グアムの南半部は距離にして約105kmだという。筆者はロードバイク歴半年ほどの初心者ツーリストで、1日の最高走行距離は70kmほどだ。もし無事にグアム南部を走破することができれば、自己最高記録の更新という大舞台ということになる。グアムの南部は高低差もきつく、初心者にはやや不安が付きまとうコースではあるが、果たして初心者にもグアム南部を走破することはできるのだろうか。

タモンを出発し、まずは中心地ハガニアを目指す

ビーチに直結したホテルが数多く立ち並び、島一番の賑わいをみせるタモン地区をスタートし、まずは「サウス・マリン・コア・ドライブ」と名の付いた1号線を走ることに。目指すは、グアムの中央に位置し政治と経済の拠点にもなっているハガニア地区だ。

土地の開けたグアムの道路は遠くまで見通しが効き、加えて道幅が広く、自転車を走らせるには最高のロケーション。それにも関わらず、グアムでは地元のサイクリストを見かけることはほとんどない。どうやら、これはグアムの地形が関係しているようで、グアムの街中は高低差の激しい道が多く、ひとたび登り坂に入ると、永遠にも続く登りが待ち構えていることも珍しくはない。利便性を考えれば、自ずと自動車やバイクを移動手段に使うのも頷ける。

加えて、グアムの路肩は非常に荒れている。舗装された道路の一角が何の予告もなしに陥没しているのだ。道路の片隅に大きく口を開けた穴に謝って車輪をひっかけてしまうと、ひとたまりもない。

海沿いを走る1号線を快調に飛ばし、ハガニアに到着すれば、いよいよグアム南部のヨナ地区に向けて4号線へと入っていく。グアム南部を時計周りに進む4号線はちょうどグアムの真ん中を横断する道筋。海沿いの景観からは一変し、緑豊かな山の景色が広がりをみせる。4号線に入る直前にはハガニアショッピングセンターがあり、これがグアム南部へ向けた最後の補給ポイントだ。ここを過ぎると、周囲はたちまちグアムの自然に包まれ、物資の補充は容易ではなくなってしまう。

ヨナのレストラン「ジェフズパイレーツコーブ」

4号線はその入り口から緩やかな登りが続く。軽快にペダルを回していた海沿いとは一変、ここでは見晴らしのよいグアムの地形が憎くも感じ、遥か彼方まで続く登り坂には思わず目を伏せたくなる。加えてグアムの突き刺さるような暑さがジワジワと体力を奪っていく。キンキンに冷えていたドリンクもグアムの暑さを前に、あっと言う間にぬるま湯と化してしまう。

歯を食いしばって、一心不乱にペダルを回し、やっとの想いでグアムの中腹を抜けると、山の緑が開け、再びグアムの美しい青、パゴ湾が顔を覗かせる。しかし、パゴ湾の美しさに見とれるのも束の間、息つく間もなく湾を大きく迂回、そこには地獄のごとく続く登り坂が。ヒルクライマーならばトレーニングに抜群の地形だと、喜ぶのだろうか、ふとそんな想いがよぎるが、坂を目の前にしてはよもや無心である。ただ黙々とペダルを回し、頂上を目指すより他なしだ。

登りがあるということは、もちろん下りもある。坂の頂上からの下りは最高に気持ちがいい。今までの苦労が報われた、そんな気持ちも沸き起こってくる。晴れ渡ったグアムの空の下、目の前には透き通るほど綺麗なグアムの海、車だと一瞬で通り過ぎてしまう景色も自転車ならば存分に堪能することができる。景色を楽しみながら海風を切って走るのは最高の贅沢だ。心なしか披露していた足も軽くなった気がするから不思議だ。

4号線沿いをヨナに向かって進み続けると、ジェフズパイレーツコーブというレストランが見えてくる。ドライブの休憩に持ってこいのロケーションに位置し、海を望みながらテラス席で食事を楽しむことのできるこのレストランは、海賊の入江というレストラン名にある通り、店内は海賊船を模したデザインとなっており、海賊の隠れ家のような雰囲気が漂っている。グアムのベストバーガーとも噂されるボリューム満点のチーズバーガーが人気の看板メニューだ。

そんなジェフズパイレーツコーブを抜けると、グアムの観光地らしい景観はなくなり、物資を補給できる店もなくなるなど、サイクリングの厳しさはより増すことになる。引き返すならばここが1つの分岐点というわけだ。

ここまで距離にして約30kmほど。体感としてはもっと長い距離を走って来た気もするが、それは4号線の長く険しい坂のせいだろうか。このまま進めば残り70km、戻れば30km。実力を加味し、初心者はこの辺りが引き際だろうか。ジェフズパイレーツコーブで物資を補給し、グアム南部制覇へと遠く続いている道を見やりつつ、タモンへと引き返すことにした。行くも勇気だが、引くもまた勇気だろう。

グアム南部を一周するコースは「ツアーオブグアム」といったイベントに代表されるように、サイクリンクイベントのコースにもなっている。車通りも少なくグアムの素晴らしい絶景を望みながら楽しむサイクリングにはうってつけのコースだ。しかし、パンクをはじめとするメカトラブル、体調不良など、思わぬアクシデントに見舞われると人通りの少なさから助けを求めることも難しい。単独でチャレンジするということであれば、十分に注意して挑む必要がありそうだ。

グアム南部を自転車で攻めるには、日頃から自転車に乗り親しんでおくことはもちろん、複数名で挑むのが望ましいだろう。そして、今回はグアム南部を一周すると意気込み出発したが、長く続くグアムの坂に耐えうる足が元より必要だと感じるサイクリングとなった。

ジェフズパイレーツコーブ
http://guruyaku.jp/guam/restaurant/2469

ロードバイク歴半年……グアム南部を自転車で一周できるのか?

《長瀬 学斗》

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