【経営者の悩み】生命保険、「掛け捨て」と「積み立て」どちらを選べばよいのか

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経営者の積み立て保険は運用と考えるべき?
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  • 高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー)

今回の回答者:高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー)

質問:
 生命保険に加入することにしました。掛け捨てだともったいない気がするので、積立保険に加入しようと思うのですが大丈夫でしょうか?

回答:
 第11回に続き、生命保険について検討をしてみたいと思います。

 掛け捨ての保険だともったいない、もし何もなかったらお金を捨てたようなものだ。このような考え方をされる方は非常に多いようです。ただし、ここで一つ忘れてはならない大原則があります。それは保険で一番大切なことは「保障をすること」だということです。

 そもそも保険というものは「あったら困るなぁ」ということに対処するためのものです。従って、保険に加入したけれど結局使わなかったということは喜ばしいことだと思って下さい。

 そして事業をする上で、必要な保障はあります。第11回でもご紹介したような事業の運転資金、借金の返済など、万が一のことが起こってしまったら遺された人はどうするんだろう? ということにしっかりと対処しなければなりません。

 ここで掛け捨て保険と積立保険の違いを簡単に。

◯掛け捨て保険
・必要な保障を比較的安価な保険料負担で実現できる
・保険事故が起こらない場合、支払ってきた保険料は無駄になる
・事業の状況が変わったときなどには、保障の見直しが比較的簡単にできる
・保障を重視するのであれば、掛け捨ては利便性が高い

◯積立保険
・必要な保障を実現するためには、かなり高額な保険料を支払う必要がある
・積み立てられた保険料は、保険会社の運用を経て戻ってくる
・保障の見直しは難しい場合がある
・積立保険は保障以上に資金運用の性格が強い商品である
・想定しているような効果を出すためには、短くて数年、長くて20年ほどの期間、決められた保険料を支払い続ける必要がある

 比較をして頂くとわかるかと思いますが、積立保険は保障というよりも資金運用の性格が非常に強いものです。

 資金運用の中には税金を安くする節税効果や保険会社による運用益が含まれています。これらの効果を実現するために、高額の保険料を長期間に渡って支払い続けることが必要です。

 つまり、積立保険を有効に活用できるためには

・手元にある程度の潤沢な資金がある
・今後の事業活動において、かなり安定的な状況が見込まれる

といった、これらの課題を乗り越えていなければなりません。単に掛け捨てじゃもったいないから…程度の気持ちで積立保険を始めてしまうと、手痛い思いをすることになるのです。

 実際、私はお客様に積立保険を薦めることはあまりありません。余程業績がよく、手元資金が潤沢な方でなければ効果が期待できないからです。逆にそのような状況にあるお客様には、将来の退職金を貯めつつ税金を安くするようなつもりでオススメをすることもあります。

 質問者様への回答として、次のような段階を経て検討をして頂くことを推奨します。

1.今現在、どれくらいの保障が必要なのかをしっかりと考える。
2.必要な保障額に対して、現在加入している保険の状況を整理する。
3.追加が必要な保障を考え、既存の保険見直しも含めて検討する。
4.現在の手元資金量やこれからの業績見通しについて検討する。
5.保障を満たしつつ、運用的な効果まで含めて保険を活用するか決断する。

 保障のことをしっかりと考察しないまま、運用的なことだけを考えて保険に加入してしまうとあまり良いことにはなりません。

 まずシンプルに、必要なこと(保障)をしっかりと行ったあとで追加的な効果(資金運用)を求めるようにしましょう。

<回答者のプロフィール>
高橋昌也:税理士・AFP。神奈川県川崎市に事務所を構える。
中小零細法人や個人事業主に関する仕事に特化。 顧客との定期的な面談等を通じて、税務、経理その他経営上の課題について話し合うことをモットーとしている。 趣味はアカペラ、立廻剣術ほか。地域の非営利活動にも従事。

<悩み・相談募集>
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【解決!社長の悩み相談センター】第13回:生命保険は掛け捨てと積み立て、経営者としてはどちらがよいのでしょうか

《高橋昌也》

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